「米Rimini Streetが顧客から再び『ITベンダー・オブ・ザ・イヤー』に選出される」−−。こんなタイトルの米国発ニュースが8月19日に流れた。Rimini Street(リミニストリート)とは、企業向けソフトウェアの第3者保守の大手ベンダーである。ただし、ここで言及したいのは同社のことではなく、「顧客より再び『ITベンダー・オブ・ザ・イヤー』に選出」の部分。IT分野で、ユーザー企業がITベンダーを表彰するというのはあまり聞かない。どういうことなのか?
Rimini Streetは、米Oracleや独SAPなどの製品の保守サポート料金を半額にするのがうたい文句。2014年3月には日本にも進出している(関連記事)。完成品メーカーが部品メーカーなどを表彰するケースは少なくないが、顧客=ユーザー企業が取引先のITベンダーをわざわざ選定して表彰する、それも2回もとは珍しい。
ニュースの発表文を読んでみると、顧客は米国のHastings Entertainmentという会社である。中古品を含めたCDやビデオゲーム、雑誌などを販売する小売りチェーンであり、米国に126店舗を展開する。
同社は2007年に財務と人事管理を処理するPeopleSoftアプリケーション(2005年にOracleが買収)の保守サポートをRimini Streetに切り換え、保守費用の削減に加えて不要なアップグレードを回避した。それを評価して2009年にRimini Streetを「ITベンダー・オブ・ザ・イヤー」に選んでいる。
では今回の表彰理由は何か?Hastingsの責任者は「Rimini Streetに切り替えて以来、それ以前のベンダーに比べレベルの高いサポートとレスポンシビリティを得ています。同社の重要な役割を認識し、この賞を授与できてうれしく思います」と、ニュース発表文の中でコメントしている。2009年から2014年までの間に、特筆すべき何かがあったわけではないようだ。
このことからすると2度目の選定・表彰といっても大した意味はないと思えるし、ユーザー企業がITベンダーを表彰することが米国でどれほど一般的なことなのかも分からない。だが、それをさておいても、ユーザー企業がITベンダーを表彰するのは、いいことではないだろうか。
ITベンダーへの評価を明確に示すことでITベンダーの士気が高まればユーザー企業にもメリットがある。加えて、ほかのユーザー企業にとっても、評価の理由が参考材料になり得るからだ。日本でもこのような表彰制度が広がればいいと思えるが、読者はどのように考えるだろうか。