業務アプリケーションの第三者保守事業者である米リミニストリート(Rimini Street)は2014年3月5日、日本市場への本格参入を発表した。SAPやOracleの主要製品に関して、ベンダーの半額(50%)の料金で税法や法的規制への対応やバグ・フィックスなどの保守サポートを提供する。
SAPやOracle製ERPのユーザー企業には朗報だろう。毎年、平均22%の保守サポート費に悩む企業は少なくないが、それが大きく変わる可能性が出てきたからだ。
第三者保守事業者である米リミニストリート(Rimini Streetは2014年3月5日、日本市場への本格参入を発表した。SAPやOracleの主要製品に関して、ベンダーの半額(50%)の料金で税法や法的規制への対応やバグ・フィックスなどの保守サポートを提供する。法的規制の変更に関しては200カ国に関して対応できる体制であり、日本専任のチームを擁しているため消費税関連のアップデートも提供済みだという。
来日した同社CEOのSeth Ravin氏は「顧客がSAPやOracle製品を1億円で購入したとする。支払いはそれで終わらず、使い続けるには毎年、平均22%を保守費として支払わなければならず、顧客にこれを拒否する権利はない。当社はここに競争を持ち込む」と言い切る。日本支社長の太田一矢氏も「保守サポートを民主化する」と話す。(参考記事:特集「ソフトウェア保守サポート戦略的活用元年」)
写真1:左から米Rimini Streetのセス・ラビンCEO、日本支社長の太田一矢氏などが発表会に臨んだ
Ravin CEOはさらにこう説明する。「日本企業が支払う保守費は年間1200億円と言われる。SAPやOracleには大きな収入源であり、日本の企業には高いコストになっている。それでも見合うサービスが得られればいいが、必ずしもそうではない。オラクルの場合、保守サービスの利益率は92~94%と言われており、料金の高さは明らかだろう」。
保守サービスを提供する製品は9つ。Oracle製品が多く、EBSに加えJDEdwards、PeopleSoft、Siebel、Ritek、Oracle DB、Hyperion、SAP製品はSAP ERPとBusiness Objectsである。各製品のすべてのバージョンを最大15年間サポートする、アドオンは追加費用不要でサポートするという。
日本支社は2013年7月に開設済みで、すでにサービスを提供中であり、SAPユーザー企業1社、Oracleユーザー企業2社と契約済み。米国ではパイオニアUSA、セガアメリカなど7社の日系企業を獲得しているという。「アジア太平洋地域で50社のユーザー企業がおり、急ピッチで伸びている。欧米では、Fortune500社のうち85社が顧客だ」(同)。
Rimini Streetは、2005年設立で社員数は400人。近く、IPOを申請する予定だ。SAP、Oracleとは何の提携関係も持っていないが、「我々はソースコードにフルアクセスできるし、ソフトウエア・バグについても修正するスペシャリストがいる」。
一方、同社は米Oracleとの間で訴訟を抱える。「彼らとしては、自分たちの独占的な立場を守るための措置だ。しかし、我々はそれにもかかわらず40%成長を維持しているし、オラクルが訴訟を提起した2010年1月当時と比べて顧客層は6倍になった。これが我々の正当性を証明している」(Ravin CEO)。知財を争う訴訟は織り込み済みというわけだ。
そんなRimini Streetのサービスをどう評価するかはともかくとして、ERPなどパッケージ製品の保守サポート費が高いのは確か。数年前、ライセンス正価の22%前後に値上げされる際にも議論が噴出したが、ほかに選択肢がない以上、製品を使い続ける企業は飲むしかなかった。それを変える可能性がある点でRimini Streetには注目すべきと言えるだろう。