第1回から第3回では、アフターサービスにおける3つのビジネスモデルを見てきた。いずれのビジネスモデルでも、最大限の収益を得ようとすれば、ITの仕組みを活用して効率的にサービスを提供しなければならない。第4回からは、アフターサービスを支えるITの仕組みについて考えている。前回は「サービスナレッジの準備と蓄積」に関して考察した。今回はサービスナレッジ以外の情報をサービスの現場に届ける方法について考えてみよう。
製品を整備点検したり修理したりするサービスの現場では、作業を実施するにあたって様々な情報を参照する。サービス現場で必要になるこれらの情報を「サービス情報」と呼ぶ。サービス情報には、次のようなものがある。
●交換部品の品番や値段を記した「パーツカタログ」
●部品の分解・整備・取付手順を説明した「サービスマニュアル」
●サービスマニュアルやパーツカタログの最新情報を載せた「サービスブリテン」
●電子機器の配線を記した「配線図(ワイアリングダイアグラム)」
●ハードウェア機構やソフトウェアの動作や設定を説明した「動作原理」
●機器の故障箇所を特定するための「故障解析手順」
業態や取り扱い製品によっては、上記以外のサービス情報も現場では必要になる。
限界が見えてきた「配本(ブックベース情報配信)」
従来、これらの情報は独立して、本や冊子として配布されてきた。パーツカタログとサービスマニュアルは、それぞれが独立しており、別々に配本される。そのため「パーツブック」や「サービスブック」と呼ばれることもある。本稿では、この形式の情報配信を「ブックベース情報配信」と呼ぶことにする。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 【第13回】サービスのその先へ、「ものづくり」を忘れずに(2015/01/15)
- サービスの新潮流(2) IoT(Internet of Things:モノのインターネット):第12回(2014/12/16)
- 【第11回】サービスの新潮流(1)オムニチャネルによるスムースな対応を(2014/12/02)
- 【第10回】サービス化のカベ(2)最新のサービスモデル移行には組織変革が不可避(2014/11/18)
- 【第9回】サービス化のカベ(1)サイロ化がサービスシフトを阻む(2014/11/07)