製造業におけるサービス化に実際に取り組む際の課題として前回は、Break/Fixモデルから脱却する際の業務とITのサイロ化が及ぼす影響を考え、CSO(Chief Service Officer:最高サービス責任者)といった全体最適を図るための人材の必要性も指摘した。今回は、最新のサービスモデルである「Preemptive Service(先取り/先制攻撃)モデル」への移行に向けた課題を考えてみたい。
第3回で紹介したPreemptive Service(先取り/先制攻撃)モデルでは、利用者が比較・検討して購入するのはサービスであって製品ではない。従ってメーカーも製品を単体では売らなくなる。商品は、あくまでも製品を利用したサービスであり、そこでの製品はサービスを構成する多くの要素の1つに過ぎない。ここが、製造業の従来のビジネスモデルとは大きく異なる点である。
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Preventive Maintenance(予防保守)モデルからPreemptive Serviceモデルへサービスを進化させるにおいては、このビジネスモデルの変化を企業として受け入れられるかどうかが変革の“カベ”になる。Break/Fix(壊れたら直す)からPreventive Maintenanceモデルへ移行する際の“カベ”は「組織のカベ」だった(関連記事)。
これに対し、Preventive MaintenanceからPreemptive Serviceへの移行で解決しなければならないのは、「ビジネスモデルのカベ」だ(図1)。
採用が進むPreemptive Serviceモデル
Preemptive Serviceのビジネスモデルはさらに、成功報酬型と利用量型の2つに分けられる。成功報酬型は、利用者とサービス提供者の間で何らかの数値目標を設定し、その目標が達成できた場合に料金が支払われる。
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