[架け橋 by CIO Lounge]

生成AI、AIエージェントなど、進化するテクノロジーを社員の力にする

双日 取締役 専務執行役員 CDO兼CIO兼デジタル推進担当本部長 荒川朋美氏

2025年8月7日(木)CIO Lounge

日本を代表する百戦錬磨のCIO/ITリーダー達が、一線を退いてもなお経営とITのあるべき姿に思いを馳せ、現役の経営陣や情報システム部門の悩み事を聞き、ディスカッションし、アドバイスを贈る──「CIO Lounge」はそんな腕利きの諸氏が集まるコミュニティである。本連載では、「企業の経営者とCIO/情報システム部門の架け橋」、そして「ユーザー企業とベンダー企業の架け橋」となる知見・助言をリレーコラム形式でお届けする。今回は、双日 取締役 専務執行役員 CDO兼CIO兼デジタル推進担当本部長でCIO Lounge正会員メンバーの荒川朋美氏からのメッセージである。

 AI、量子コンピューティング、バイオテクノロジー──。今、テクノロジーの進化はかつてないスピードで社会を塗り替えつつあります。変化の速さは日進月歩どころか、秒進分歩と言っても過言ではありません。そんな中で企業が持続的に成長するには、変化の波をいち早く捉えて対応し、それを自らの価値創出に結びつける力が不可欠です。

 自律型AIエージェントが需給をリアルタイムに最適化し、パーソナライズドAIが社員の“分身”として意思決定・交渉・評価を担う──そんな時代の到来は、もはやSFではありません。企業がAIの進化を活かすには業務の効率化にとどまらず、組織設計やリソース配分の原理そのものを変えていかなくてはいけません。

 テクノロジーに対応する力だけでなく、「社会が得る価値」を問い続ける視座を持たなければ、企業にとって持続的な成長は難しい時代に突入しています。

信頼できるAI活用とリスクに備えたガバナンスの確立

 こうした認識のもと、双日はAI活用を中核とした企業変革に取り組んでいます。出発点は確かなデータ基盤づくりにあります。2024年度は、IT・ネットワークインフラの共通化、次期基幹システムの構想策定に加え、構造・非構造データの整備を進めました。AIの精度と効果は、どれだけ“価値あるデータ”を扱えるかに大きく依存します。だからこそ、全社横断で経営管理に直結するデータ基盤を整えることに注力する必要があります。

 一方、AIの導入にはリスクも伴います。著作権問題、ハルシネーション、倫理などです。中でも倫理には明確な正解が存在せず、社会的な合意や文脈に大きく左右されます。だからこそ企業がAIを活用する際には、自社が掲げるビジョンやパーパスを出発点に、それに即したAIの活用方針を構築することが重要です。そのうえで、AI活用に関する原則やルールを明文化し、社内外に対して透明性を持って示すことが、社会からの信頼を得るうえでも不可欠となります。

●Next:生成AI活用をさらに前進、業務効率化を超えた価値創出の取り組み

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