「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、ニチハ システム統括部長 鈴木康宏氏からのオピニオンである。

20年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)が、2025年5月2日の山口祭を皮切りにスタートした。式年遷宮とは神宮の社殿をまったく新しくし、御神体を新宮(にいみや)に移す儀式のことである。実際の式年遷宮は2033年の秋だが、準備は8年前の今年から始まるのである(画面1)。
画面1:伊勢神宮 神宮式年遷宮のWebサイト拡大画像表示
式年遷宮では、神宮の内宮(ないくう)、外宮(げくう)の2つの正宮だけでなく、別日程で14の別宮(べつぐう)、109の摂社・末社・所管社や五十鈴川に架かっている宇治橋、鳥居なども造り替えられる。社殿が置かれる敷地は、東西にまったく同じ広さの敷地があり、今ある社殿の隣に最初からすべて造り替えていく点がかなりユニークである。
しかも造り替えられるのは、建物や橋、鳥居といった建造物だけではない。衣服や服飾品などの「御装束(おんしょうぞく)」、刀などの武具、楽器、文具、日用品などの「神宝(しんぽう)」をすべてまったく新しく作り替えて奉納する。その数は714種類、1576点にも及ぶ。それら一つひとつに専門の職人がいて、伝統を守っている。第1回目の式年遷宮は持統天皇4年(西暦690年)に行われ、途中で中断があったものの1300年もの長い間繰り返され、今回の式年遷宮で63回目となる。すごい伝統行事である。
式年遷宮が20年に一度行われるのは、昔の人の寿命でも一生に2度は遷宮に携わることができ、2度目あるいは3度目の職人が初めての職人に技能を継承できるからではないかと考えられている。実際、先日行われた御杣始祭(みそまはじめさい)という木曽の御杣山でヒノキ2本を伐採する儀式の杣頭(そまがしら:伐採作業の責任者)は32歳の時、初めて御杣始祭に作業者=杣夫(そまふ)として参加。3回目の今回、杣頭になったという。御杣始祭で実際に伐採を担当する杣夫の方々は5年前から斧のみで木を切り倒す練習を続けるのだそうである。
すべてが昔のまま維持されているわけではない。例えば式年遷宮で使われる和釘は、もともと伊勢大湊の木造船を作っていた業者が代々制作していた。船が強化プラスチックに変わってきたことで和釘を作る業者がなくなり、1989年からは新潟三条市の三条工業会で作られているそうである。職人の数が減少している日本ではこうした伝統を守るために職人を守っていく必要がある。この式年遷宮がなければ和釘づくりの伝統はストップしていたかもしれない。このように跡継ぎがいなくて伝統が途絶えてしまった例は他にもあるのではないだろうか。
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