[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

DX成功の鍵は「人」にあり!─ANAが実践する、変革をリードする人材育成

全日本空輸 上席執行役員 グループCIO デジタル変革室長 加藤恭子氏

2025年4月15日(火)CIO賢人倶楽部

CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、全日本空輸 上席執行役員 グループCIO デジタル変革室長 加藤恭子氏からのオピニオンである。

 事業会社でデジタル人材の採用や育成を拡大する動きが広がっています。全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスにおいても2023~2025年の中期経営戦略において、デジタル人材を2019年比で1.6倍に増員することを掲げており、2026年の新入社員もグローバルスタッフ職(旧総合職)のうち実に3分の1に相当する20名がIT・データ系での採用を予定しています。

 一方でデジタル人材を増やせば未来は明るいのかというと、決してそうではありません。事業会社において重要なのはデジタルを活用した変革です。そのため社員には、中長期の将来を見据えたうえでデジタルを活用して事業の何を変え、何を実現したいのかをはっきりとイメージし、言語化できる能力が求められます。

 私が新人のころ、そのことの重要性を感じた忘れられないエピソードがあります。クレジットカードにICチップが搭載されていない時代、私の上司は「いつごろになるかはわからないが、いずれクレジットカードにはICチップが搭載される。そうなったら航空券の代わりになりえる」と考え、一緒にさまざまな企業と議論を重ねました。

図1:チケットレス搭乗「SKiPサービス」のキャラクター。スマートフォンを用いる新サービス「ANA Smart Travel」導入に伴い、2023年3月31日にサービスを終了(出典:全日本空輸)

 10年以上を経て、その想いは国内線でチケットレス搭乗が可能な「SKiPサービス」として、クレジットカードに搭載したEdyを利用することで実現しました(図1)。単に紙の搭乗券を電子化しただけでなく、チェックインカウンターに並ばずに直接、保安検査場に向かったり、手荷物を自動で預けられたりと、お客様の空港での過ごし方が大きく変わるきっかけになりました。このように自身のアンテナの感度をあげ、お客様のために未来を見据えることでビジネスモデルの変革が実現することを体感したことは私の礎にもなっています。

●Next:職場課題を解決できるDX人材を育成、教育プログラムを通じて広げる変革の根

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