振込手数料の値上げを機に、法人のインターネットバンキングを申し込んだが、その手続きやサービス内容は筆者が思っていたものとは違っていた。伝統的な銀行は自行の事業やサービスのデジタル化に多額の費用を投じているはずなのだが……ネット専業銀行の利便性と比較しながら考えてみる。
前回は、病院のデジタル化が進んでいることを体験レポートとしてお伝えした(関連記事:着実に進む病院のデジタル化、患者の不便と医療従事者不足を共に解決へ)。今回は銀行業界での動向について報告したい。
きっかけは筆者の会社が法人口座契約をしている都市銀行が今春、一方的に振り込み手数料を値上げしたことである。毎月の振込件数はそう多くはないが、値上げ幅は他行振込で75%と大幅だった。この値上げ幅に触発されて、法人のインターネットバンキングサービスを登録することにした。
個人/法人にかかわらず、ネットバンキングの振込手数料は安く設定されている。海外送金でも銀行の窓口から送金すると手続きが面倒なうえ、7000~8000円の手数料を要求され、相手先への着金も遅い。ところが海外送金のアプリを使って送金すると手数料は1000円以下で翌日には着金する。今の金融システムは国際間でもこんな感じになっている。
ネットで完結しないネットバンキングと窓口訪問の顛末
上記の経緯から、筆者は銀行のWebサイトから法人向けのネットバンキングを申し込んだ。給与振り込みができるインターネットバンキングの申し込みフォームに事細かく入力し、申し込みボタンをクリック。これで完了かと思いきや、何とプリントアウト用のフォームが現れて、「プリントアウトして取引支店にお持ちください」との表示。国際送金でさえすべてネットで完結して即日使えるようになるのに、ネットバンキングの申し込みが銀行窓口で続きの手続きを求められるとは思わなかった。しかたなく取引支店の窓口に出向いた。
銀行窓口に行くと、いつものように整理番号を登録して待つことになったが、ディスプレイを介して遠隔の処理センターとやりとりする「テレビ窓口」対応だという。これは事務所移転の住所変更の時に経験済みだが、それなら、わざわざ取引支店に行く必要はなく、最寄りの支店でもよかったはずだ。

●Next:これは本当に顧客利便のためのデジタル化なのか?
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