プラント建設/エンジニアリング会社の千代田化工建設(本社:神奈川県横浜市)は、グループ全社の経費精算システムをクラウドサービスで刷新した。TISの「Spendia」を導入して、紙の領収書と目視確認に依存していた経費精算業務をデジタル化した。TISが2025年7月25日に発表した。
千代田化工建設は、神奈川県横浜市に本社を置く、1948(昭和23)年設立の総合エンジニアリング会社である。国内外でLNG(液化天然ガス)や石油、化学などのプラント建設事業を営んでおり、グループの従業員数は3400人に上る。
同社では、事業の特性上、顧客企業やプラント建設現場への出張にかかる旅費申請が多いという。経費申請・精算業務はグループ各社で異なっていた。本社は人事系パッケージ製品を利用していたが、子会社はExcelで申請伝票を起票後に会計システムに連携していた。
また、グループ共通の課題として、経費申請・精算が紙に依存していた。「毎月、各部門の担当者が紙の領収書を台紙に貼り付けて提出し、経理担当者が申請内容と領収書を目視で照合しており、この作業に大きな負荷がかかっていた」(同社)という。
こうした中、TISのクラウド型経費精算システム「Spendia(スペンディア)」(画面1)を採用して、システムを刷新することにした。当初は旅費規定の見直しを控えていたことから、まずはグループ3社に同時展開し、その後に千代田化工建設本体に導入した。第1段階として全社共通の要件を定めてグループ共通のテンプレートを確定、第2段階では各社独自の規定やルールに合わせた個別設定を実施した。こうして、2024年4月に国内グループ会社で利用が始まった。

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業務環境に合わせて、追加開発やカスタマイズを実施している。プラント建設は担当者の権限が分散していることから、組織の役職ベースの承認ワークフローの運用は困難と判断し、社内の承認者管理システムから承認者情報を取得するAPIを追加開発した。また、海外顧客企業に提出する証憑PDFの費目名を英語表記にする独自のカスタマイズを施した。
Spendiaの選定にあたっては、複数の社内プロジェクトに経費を按分できる点も評価した。複数案件を兼任する社員が経費の費用負担先を按分して申請する際、従来の運用では、あらかじめ管理者から指示された按分率に従い、社員が伝票を見ながら手計算して3通の申請を起票していた。Spendiaは、画面に按分率を入力するだけで、経費を自動的に按分する。
申請件数ではなくユーザーID数に基づいた料金体系を採っている点も評価した。交通費や備品購入の申請伝票件数が多いことから、コスト面で有利である。また、社員全員に経費支払用のコーポレートカードを支給していることから、カード会社の明細データが自動で連携する点も評価した。クレジットカードの売上票の提出やカード明細のダウンロードが不要になった。
Spendiaの導入による主な効果として、台紙に貼り付けた領収書と伝票画面を目視で確認する作業負荷が軽減された。同じ伝票画面で、紙の領収書をスキャンした画像、ECサイトの電子領収書、コーポレートカードの明細をひも付けて管理できるようになったという。