[事例ニュース]
京葉銀行、コンタクトセンターにAIを導入、回答候補を提示
2025年10月21日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
京葉銀行(本店:千葉県千葉市)は2025年10月21日、AIを活用したコンタクトセンターシステムを導入した。ジェネシスクラウドサービスの「Genesys Cloud CX」を同年10月20日に導入し、IVR(自動音声応答)やオペレーターの回答支援などにAIを活用している。また、今後の提供を目指す自動応答サービスに向けて、日立製作所と回答精度を高めるための技術検証を実施している。
京葉銀行は現在、「オムニチャネルの進化」を掲げ、対面と非対面チャネルを連携させてオペレーターにとっての操作性・利便性の向上に取り組んでいる。
その実現に向けて、ジェネシスクラウドサービスのAI機能を備えたコンタクトセンターシステム「Genesys Cloud CX」を導入した。問い合わせに対する応対品質を高め、顧客に適したサービスを適切なタイミングで案内できる体制を整えることが狙いである。
Genesys Cloud CXには、顧客からの問い合わせにAIが回答候補をオペレーターに提示するAIアシスト機能が備わっている。これにより、オペレーターのスキルに依存しない、高品質かつ均一な応対を実現する。また、IVR(自動音声応答)にAIを適用してオペレーターの事務作業を減らす。問い合わせ内容に応じて適切な担当者につなぐほか、通話内容を自動要約・記録する。
問い合わせに確認の質問を入れて回答精度を向上
京葉銀行は、コンタクトセンターシステムにおいて、24時間365日いつでもAIが質問に回答する自動応答サービスの構築を目指す。問い合わせ内容をAIが分析し、有益なナレッジとして蓄積できるようにする。そのための技術検証を、2025年5~9月に日立製作所のAI専門チームと実施している。

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自動応答サービスの技術検証では、同行のWebサイトで公開中の情報に関する問い合わせに対して生成AIが正しい回答を作成できるか、その回答精度を評価した。「問い合わせ内容が不十分な場合でも、必要な情報を確認する質問を自動的に行い、問い合わせの意図をAIが正しく把握できるように設計した」(同社、図1)。
例えば、手数料の金額についての質問に、AIが「ATM利用手数料」や「振込手数料」といった選択肢を提示し、顧客の意図に沿った回答に誘導する。RAG(検索拡張生成)のみでは正答率が58%にとどまったが、必要な情報を確認する質問によって86%に向上したという。