ビジネスを取り巻く環境変化の激しい昨今、グローバル展開や新規事業の創出といった「攻めのIT投資」と、情報セキュリティやコンプライアンスの強化などの「守りのIT投資」をバランス良く展開する――そのための文字どおりの基盤として、企業におけるITインフラの重要性が数年前とは比較にならないほど高まっている。とりわけ、IT活用の生命線とも言えるクラウド/インターネットアクセス環境のパフォーマンスや信頼性については、ビジネスの成否に直結するほどのクリティカルな要素となってきている。今回、「信頼に足るクラウド/インターネット環境」を実現する新世代のITインフラの要件について、アカマイ・テクノロジーズ日本法人職務執行者社長の徳永信二氏に語ってもらった。
新世代のITインフラに求められる要件とは
紹介した事例の成功ポイントを踏まえつつ、新世代のITインフラに求められる要件とは何かを徳永氏に尋ねた。同氏がまず挙げたのは「SLAを提供できるかどうか」だ。
「社会インフラとしてのインターネット利用が進んだ米国を見ると、トラフィックがとんでもない勢いで増大し続けています。しかも、ビジネスニーズの変動によって、トラフィックには大きなスパイクがありますので、想定しうる最大限の負荷に耐えられるようなプラットフォームでなければ信頼できるインターネット基盤にはなれないでしょう。その信頼を可視化して担保するために、SLAの提供は不可欠なのです」(徳永氏)
アカマイでは、インターネットにおけるこうした「量の拡大」に対応すべく、さまざまな取り組みを進めている。その1つはプラットフォームの拡充であり、驚くことに、毎月、グローバルで2000台規模でのサーバーの増設を行っている。これは、ビッグデータやIoT(Internet of Things)の時代に日々加速をつけて増大するトラフィックに余裕を持って対応するのに欠かせない投資となる。
もう1つはトラフィックの低減だ。アカマイならではの高度なキャッシング技術を、画像などトラフィックを逼迫するデータに適用することで4割もトラフィックを低減することに成功している。また、1つの画像のソースでマルチアウトプットを実現する「Image Converter」技術も開発。この技術は、Webサイト運用にまつわるコスト・作業負荷の低減と、ユーザーエクスペリエンスの向上の両立にも貢献するものだ。
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そして、ユーザーからの要請が特に高いインターネットセキュリティの強化で、アカマイは、DDoS攻撃ソリューションやクラウドベースのWebアプリケーションファイアウォール(WAF)などを提供。インフラおよびアプリケーションレイヤでの強固なセキュリティ保護を実現している。さらに現在では、セキュリティ向上に向けた取り組みが進化して、SOC(セキュリティオペレーションセンター)を軸としたセキュリティサービスも提供しているのである。現在、東京にもSOCを構築中であり、セキュリティインシデントに24時間365日対応可能なマネージドセキュリティサービスを国内で提供する準備を進めている。
「インターネットを安心・安全かつ高速に使える環境がすでに確立されていることは、イノベーションに前向きな先進企業による取り組みによってすでに実証されています。そうした企業に共通するのが、自らの取り組みを企業秘密だとして隠すのではなく、むしろ公開するオープンな姿勢です。その姿勢は自社の技術やサービスの提供体制への自信の現れにほかならず、その先の顧客からの信頼獲得につながります。我々も、そのようなお客様をサポートしていくのが使命ですし、それができる良い関係を築かせていただいています」と徳永氏は強調する。
インターネット/クラウドへの投資が、企業の競争力向上により直結するようになっていく。そんな時代を迎え、アカマイのソリューションが日本の企業にもたらしうる価値は、今後ますます高まっていくことだろう。