[ゼロからわかるiBeacon]

iBeaconがなぜ注目を集めるのか

第1回

2015年2月17日(火)中居 郁

昨今、「iBeacon」という言葉を耳にする機会が増えました。いったいどんなテクノロジーなのだろうかと気になっている読者も多いはず。この連載では、iBeaconの概要とビジネス利用の可能性について紹介します。

 昨今、「iBeacon」という言葉を耳にする機会が増えました。いったいどんなテクノロジーなのだろうかと気になっている読者も多いはずです。

 iBeaconは、米アップル社が提供するサービス・商標です。「ビーコン」と呼ぶ機器を使って、iPhoneやiPadといったiOSデバイスがどこにあるかを特定する仕組みを提供します。iOS7以降のバージョンで利用可能になりました。技術的な仕組みは次回に譲りますが、iBeaconを使うと、以下の2つが可能になります。

iOSデバイスがビーコンの領域内に入ったこと、出たことを検知する

 ビーコンの領域にiOSデバイスが入ってきたこと、出て行ったことを検知します。デバイスを検知できる範囲はビーコンが発する電波の強さによりますが、概ね半径数十センチ〜数十メートル程度だと考えてください。

iOSデバイスのビーコンからの距離を3段階で検知する

 ビーコンの領域内にいるiOSデバイスと、ビーコンの間の距離を「遠い」「近い」「非常に近い」の3段階で検知できます。

iBeaconが持つ2つの機能図1:iBeaconが持つ2つの機能
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 これらの特性を活かせば、「ユーザーのリアルな位置を把握し、現時点である場所にいる人にだけ情報を届ける」ことができます。なお、現時点でiBeaconを利用可能な端末は以下のデバイスです(iOS 7以降をインストールしている必要があります)。

  • iPhone 4S以降
  • iPad第三世代以降
  • iPad mini以降
  • iPod Touch(第5世代)以降

「目新しくはないが、使い勝手がいい」のがiBeacon

 「似たような技術は昔からあるじゃないか。何が目新しいのか?」。そう思われた読者も少なからずいるでしょう。そうした感想はもっともです。これまでも、WiFiや超音波などを使って屋内の位置情報を取得する仕組みはありました。そうした測位技術とiBeaconがやれることは、実のところ大きく変わりません。

 では、なぜiBeaconは注目を集めるのでしょうか。理由は、オープン技術を使用しており、ユーザーにとって利便性の高い仕組みだからです。iBeaconは、「Bluetooth Low Energy(BLE)」という規格に準拠しています。文字どおり、近距離無線通信技術「Bluetooth 4.0」を、極めて小さな電力で利用できるように拡張したものです。

 オープンな技術を使用しているということは、アップル社以外のデバイスでも利用が可能ということです。ビーコン端末は、BLEの規格に準拠していれば良いため、実際に、さまざまなメーカーが独自のビーコンを製造・販売しています。ユーザーはバラエティに富んだビーコンの中から、自分の用途に適したものを選べます。

 机に置くタイプのものもあれば、壁や天井に取り付けたり、商品に貼り付けたりできるものもあります。多くのメーカーが市場に参入しているため、機器の値段も安い。安いものだと1000円くらいで手に入ります。これくらい安いと、壊れてもすぐに新しいもの購入できます。システムの維持費用が安い点は魅力です。

 Android では、Android 4.3からBLEに対応したAPIが追加されました。Windowsも、Windows 8.1から正式にBLEに対応したAPIを提供しています(Windows 8でも既に一部は提供されていました)。Bluetooth4.0対応のAndroid端末や、Windows端末でもビーコンを利用した位置測位を利用したアプリが利用可能です。

 今回の話をまとめると、ビーコンにより、近距離位置情報を使ったサービスを展開しやすくなったと言えるでしょう。

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