iBeaconを使うことによって、企業はさまざまなキャンペーンを実施できます。ただし、その際、注意すべきポイントがいくつかあることも事実です。今回は、特に課題となるものをいくつかご紹介します。
iBeaconを使ったキャンペーンを展開する場合、企業がやるべきタスクは3つあります。まず、iBeaconに対応したアプリを開発すること。それを、ユーザーのiOSデバイスにインストールしてもらうこと。さらに、キャンペーンを実施する場所にビーコン端末を設置すること。この3つが大前提です。
さらに、ユーザーがデバイスを以下の通りに設定している必要があります。
ユーザーが所定の設定をしていること
- iOSデバイスのBluetoothを「オン」に設定
- アプリケーションの「位置情報サービス」の設定において、
位置情報の利用を「常に許可」または「このAppの使用中のみ許可」に設定
もし、ユーザーがBluetoothや位置情報サービスの利用を禁止していると、いくらiBeacon対応アプリをインストールしていてもビーコンの電波を検知しません。しかも、バッテリー消費を抑えるためにBluetoothをオフにしたり、プライバシーを守るため位置情報サービスをオフにしたりしているユーザーは意外と多いものです。
そうした人々にiBeaconを使ったキャンペーンを展開するためには、バッテリーやプライバシーに対する配慮、懸念を突き崩すような強い動機付けが必要となるのです。最も分かりやすい動機付けは、クーポンや来店ポイント、お得な情報といったものです。ただし、乱発すると新鮮味やありがたみが薄れるので加減が重要です。
位置情報を使ったサービスが普及し、バッテリーの持ち時間が大幅に伸びるまでは、利用者に使ってもらうための工夫が欠かせないでしょう。
距離計測にはアプリのフォアグラウンド起動が必要
iBeaconでは、ビーコンとiOSデバイスの距離を「遠い」「近い」「非常に近い」の3段階で把握できるとお話しました。実は、距離検知機能を使うためには、アプリをフォアグラウンド、つまりアプリを画面表示させる必要があります。
ビーコンの電波を検知した時点で、アプリを立ち上げることも可能なので、領域に入る前からフォアグラウンド起動しておく必要はありません。ただし、「遠い」「近い」「非常に近い」の距離の測定には、アプリを表示している必要があります。
美術展で展示品についてガイダンスしてくれるアプリなら、常にフォアグランド状態にしてもらえる可能性は高いでしょう。しかし、アプリの性質によってはそうではないかもしれません。距離情報を計測するために、アプリがたびたびフォアグラウンドに出てくることを良く思わないユーザーもいるはずです。
ビーコン端末を国内利用するには「技適」が必要
ビーコンは無線電波を発生するため、日本国内で利用するためには「技術基準適合証明書(技適)」が必要です。海外製品の中には、技適を取得していないものもあります。購入したのはいいけれど、技適がなくて使えなかった。そんな目に合わないで済むよう、事前にチェックしておく必要があります。
ちなみに、iOSデバイスをビーコンの発信端末として使用することもできます。例えば、店舗に設置したデジタルサイネージ用のiPadや、POS端末として利用しているiPadを、ビーコンの発信端末として活用すれば投資に無駄がありませんね。
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