[新製品・サービス]
日本HP、Helion OpenStackインフラで動作するCloud FoundryベースのPaaS基盤を投入
2015年1月20日(火)魯 玉芳(IT Leaders編集部)
日本HPは2015年1月20日、クラウドアプリケーション開発・実行のための基盤「HP Helion Development Platform」を発表し、同日に提供を開始した。Cloud Foundryをベースとする同プラットフォームは、2014年10月に発表されたHPのOpenStackディストリビューション「HP Helion OpenStack」で構築されたIaaS上にPaaSを構築するための基盤を担う。
今回発表されたHP Helion Development Platform は、HP Helion OpenStack と同様、HP Helionポートフォリオを構成する製品だ。2014年5月に発表されたHP Helion は、ハイブリッドIT環境上のワークロードを構築・管理・実行するためのクラウドサービス製品・サービス群で、プライベートクラウド、パブリッククラウド、各種サービスを網羅するHPの新世代クラウド戦略そのものと言える(図1)。
拡大画像表示
HP Helion Development Platformは、オープンソースのPaaS構築・管理ソフトウェアである「Cloud Foundry」をベースに、HP Helion OpenStackで構築されるIaaSに最適化されたPaaS基盤として機能する。両者の組み合わせによって、OpenStack/Cloud Foundryベースならではのオープンプラットフォームな拡張性を備えたIaaS/PaaS基盤が整うことになり、企業やサービス事業者ハイブリッドクラウドの構築・運用を支援する。
HP Helion Development Platformが加わり、HPが熾烈なPaaS市場への参入をはたしたかたちだ。HPのアジアパシフィック&ジャパン クラウド部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー、アマン・ニール・ドカニア(Aman Neil Dokania)氏は、投入の意図を次のように説明した。「新規に立ち上げるシステムに、初めからクラウドを選択する企業が非常に増えており、そのニーズに応えるものだ。HP Helion Development Platform は、OpenStackベースのクラウドネイティブなアプリケーションを迅速に構築・配備・管理することを可能にするものである」
最大の特徴は、やはりOpenStack/Cloud Foundryに備わる機能・機構を生かした、オープンで柔軟なクラウドアプリケーション開発が可能になるという点にある。開発者は、OpenStackに備わるDBやメッセージングなどのアプリケーションサービスを活用して、重複なく採用技術の役割分担を行える。また、OpenStack ダッシュボードから、HPが独自に実装した「Application Lifecycle Service(ALS)クラスター」を利用して、クラウドアプリケーションの効率的な構築・配備・管理が可能になる。
最近注目度が増しているコンテナ技術のDockerにも対応し、Dockerの機構を利用したユーザー間の分離が可能になっている。このほか、HPやパートナーがオープンソースソフトウェアを容易に導入できるマーケットプレイス機能も備わる。なお、開発言語には、Java、Python、Ruby、PHP、Node.jsなどの主要言語をサポートし、MySQL、RabbitMQ、Memcachedなどの各種オープンソース技術を利用できる。
日本HPによると、HP Helion Development Platformは、アプリケーション開発者の生産性向上に主眼を置いたという。具体的には、アプリケーション稼働までのリードタイム短縮をはじめ、コミュニケーションの効率化や繰り返し作業の自動化などにより、工数の大幅な削減が実現できるという。なお、同社はさまざまなOpenStackトレーニングコース・資格を設けて、OpenStack技術者の育成を全面的に支援する構えだ。
HP Helion Development Platformの価格だが、物理サーバー1台あたりの年間利用額が5万2000円(標準時間テクニカルサポート付き)、9万6000円(24時間×7日テクニカルサポート(付き)と戦略的な価格設定がなされている。
拡大画像表示