モダナイゼーションを成功に導くためには、リスクを軽減しながら、かつコストを抑えたマイグレーションを実施しなければならない。それには考慮すべき8つのポイントが存在する。前回は、リスク軽減に最も有効な「移行性調査」について紹介した。今回は、マイグレーションで一般的な工程であるプロトタイピングについて考えてみる。ここにも、大きな落とし穴が待っている。
拡大画像表示
膨大なアプリケーションを移行しなければならないマイグレーションでは、開発コストの圧縮と開発品質の向上が命題である。コスト面では、アプリケーションの改修作業を自動化できるコンバージョンツールを用いて開発作業を大幅に省力化することは、もはや必須である。一方の品質面では、プロトタイピングによって技術的な課題を把握し、その解決を図るのが一般的だ(図1)。しかし、このコンバージョンツールとプロトタイピングには、意外な落とし穴が存在する。
ツールが掲げる変換率は、そのままでは比較基準にならない
マイグレーションで使用するコンバージョンツールにおける落とし穴は、「変換率」である。
変換率は、コンバージョンツールを選定する際の評価尺度にも用いられている。例えば「変換率が98%のコンバージョンツール」と言われると、アプリケーションが100本あれば、うち98本が変換可能なように思われるかもしれない。だが、実際には、そう上手くは変換できないケースが存在する。
なぜなら、「変換率」という言葉は同じでも、その変換率を算出する基準や考え方が、メーカーやSI(System Integration)ベンダーで異なっているからだ。そのため、単純に変換率として示される数字だけからコンバージョンツールを評価すると、期待した結果が得られないことがある。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 【第11回】マイグレーションに“終り”はない(2015/11/24)
- 【第10回】ポストマイグレーションの保守・運用を当初から考える(2015/10/26)
- 【第9回】最も手間が掛かる帳票のマイグレーション(2015/09/28)
- 【第8回】現行システムの凍結期間は最短化する必要がある(2015/08/24)
- 【第7回】マイグレーション工数の3〜5割を費やすテスト(2015/07/27)