モダナイゼーションを成功に導くためには、リスクを軽減しながら、かつコストを抑えたマイグレーションを実施しなければならない。それには考慮すべき8つのポイントが存在する。なかでも最も多くのコストを要するのがテスト工程である。今回は、そのテストについて考えてみる。
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マイグレーションにおけるテストとは一般に、現行システムと新システムの実行結果を比較検証するテスト(以下、現新比較テスト)を指す。この現新比較テストは対象範囲がすべてのオンライン画面や、すべてのバッチジョブなど広い範囲を対象にブラックボックステストで実施する。そのためテスト工程では膨大な工数が必要になる。
このとき、テスト担当者の経験が乏しいシステムであれば、ハードルがより高くなり、テスト時間を増加させる要因になる。こうした背景からマイグレーションにおけるテスト工程では、マイグレーションで必要とする工数全体の3分の1~2分の1を費やすと考えて良い。テスト工程をより効率的に乗り切れれば開発工数を抑制でき、マイグレーション全体のコストを引き下げられることになる。
最終テスト以前の開発段階からテストを徹底する
現新比較テストでは検証結果が一致せず、再検証が必要な部分が発生する。その原因が、1つの画面や1つのジョブ内に限定される範囲であれば良いが、残念ながら広い範囲で再テストを実施するケースが多い。テスト工程を効率的に進めるためには、再検証の発生を未然に防ぐことが重要である。
再検証を最小限に抑えるため、現新比較テストは、マイグレーションの最終段階で実施する。そこに至るまでの開発工程で、段階的にテストを実施することで、問題点を最小化するわけだ(図2)。
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