モダナイゼーションを成功に導くためには、リスクを軽減しながら、かつコストを抑えたマイグレーションを実施しなければならない。それには考慮すべき8つのポイントが存在する。前回は、コストと品質にからむコンバージョンツールとプロトタイピングについて説明した。今回は、マイグレーションに最大の難関ともいえるデータベースについて考えてみる。
拡大画像表示
データベースは、マイグレーションの対象の中でも難易度が最も高い部分である。アプリケーションのビジネスロジックは、データベースと密接に関係しているため、マイグレーションでデータベースを変更することはアプリケーションプログラムに大きなインパクトを与えるからだ。
加えて、メインフレームを使った基幹系システムの場合は、オープンシステムでは一般的なリレーショナル型データベース以外のDBMS(DataBase Management System)が稼働しているケースが少なくない。階層型やネットワーク型のデータベースである(図2)。階層型やネットワーク型のデータベースからリレーショナル型データベースへのマイグレーションが難易度を高めている。
拡大画像表示
課題を述べる前に、階層型とネットワーク型のそれぞれの仕組みを簡単におさらいしておこう。
(1)階層型データベース
データをツリー構造で管理し、1つの親データが、複数の子データを持つデータベースである。子データから見れば、1つの親データしか持たない。親データと子データの関係を示す明示的なキーは不要で、DBMSが管理するポインターによって関係付けられる。DBMSは物理的な格納順も保持している。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 4
- 次へ >
- 【第11回】マイグレーションに“終り”はない(2015/11/24)
- 【第10回】ポストマイグレーションの保守・運用を当初から考える(2015/10/26)
- 【第9回】最も手間が掛かる帳票のマイグレーション(2015/09/28)
- 【第8回】現行システムの凍結期間は最短化する必要がある(2015/08/24)
- 【第7回】マイグレーション工数の3〜5割を費やすテスト(2015/07/27)