モダナイゼーションを成功に導くためには、リスクを軽減しながら、かつコストを抑えたマイグレーションを実施しなければならない。それには考慮すべき8つのポイントが存在する。その1つが現行システムの凍結だ。マイグレーションのプロジェクトは1年以上の期間を要するものが多く、ほとんどの場合、期間中にもシステムメンテナンスが発生する。今回は、マイグレーションプロジェクトにおける現行システムの凍結について考えてみる。
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マイグレーションを計画する際に考慮しなければならない要素の1つが「現行システムの凍結」である(図1)。
完全にレガシー化し保守すらできないシステムや、業務上、保守が不要なシステムを除けば、マイグレーション期間中に必ず「システムの凍結」が必要になる。システム凍結の期間の長短と、その時期により、現行システムのアプリケーション保守作業に大きな影響を与える。
止められないアプリケーション保守
ツール利用にも落とし穴が
企業のIT投資は、その大部分がアプリケーション保守によるメンテナンス作業に費やされているのが現状だ。それだけ大きなコストを掛けなければ、ビジネスニーズの変化に対応できないからだ。それだけに、システム凍結によりシステム保守を長期間ストップさせることは容易ではない。
そのため、マイグレーションにおいて変換ツールを使用するプロジェクトでは、「アプリケーションはツールで変換するのだから、保守作業で改修されたアプリケーションも、そのタイミングで何度でも変換できる。従って、システム凍結は必要ない」と考え、プロジェクトを進めるケースがある。一見、システム凍結に伴う課題の解決策のように思えるが、ここには落とし穴が存在する。
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