ITに関する現在のホットトピックの筆頭に来るのがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)。だがCIOやIT部門など企業ITを所管する側から見ると、どんな技術やツールが必要なのかが今ひとつ分かりにくいのも事実だろう。そのヒントになるのが、買収戦略により3次元CADの有力ベンダーからIoTプラットフォームのベンダーへと転換を図る米PTCのソリューションであり、同社が主催するイベント「LiveWorx 2015」だ。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)――。この技術を巡って今、様々な“夢”が語られている。例えば、個人宅の電子レンジの動作や冷蔵庫の中身を外部から分かれば食品メーカーや小売業には新たなビジネスチャンスが生まれる、旅客機や電車の主要部品の状態をリアルタイムでモニタリングできれば安全性を大幅に高められる、農業や酪農、漁業など従来ITとは縁遠かった産業も変わる、などなどだ。
そのIoTに焦点を合わせたイベント「LiveWorx 2015」が2015年5月4日から7日にかけて米マサチューセツ州ボストンで開催された。主催したのは米PTCと子会社の米ThingWorx(シングワークス)である。PTCは、3次元CAD/CAM/CAEの「Creo」やPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアの「Windchill」など製造現場向けソフトウェアの大手。一方のThingWorxは、IoT対応のアプリケーション開発基盤に特化したベンダーで、2013年にPTCが1億1200万ドルで買収した。
IoT=モノのインターネット化だけに、PTCのような企業が力を入れるのは自然と言える。2014年8月には、機械が生成するマシンデータやセンサーデータを収集/変換するための仕組みを持つAxedaを1億7000万ドル買収。さらにLiveWorxにおいて、機械学習によるパターン認識機能を持つ分析プラットフォーム「Neuron」を開発する米ColdLightの買収も明らかにした。PTCが自ら「IoTソリューションに関しては随一」というほどの充実ぶりである(これら製品の機能については後述する)。
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実際PTCは、CADやPLM、SLM(Service Lifecycle Management:サービスライフサイクル管理)、ALM(Application Lifecycle Management:組み込みアプリケーションのライフサイクル管理)といった既存ソフトウェアの存在を考えれば、製造業視点のIoTとしては極めて強力なソリューションを擁する。これらのソリューションを駆使することでPTCは、製品の開発から稼働監視、保守に至るまで一連のサービスを提供するシナリオを描いている(写真1)。
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