ガートナー ジャパンは2015年5月25日、日本企業のビッグデータへの取り組みに関する調査結果を発表した。ビッグデータに対する認知度は約9割に上り、約3割の企業が関心を示しているものの、実際にビッグデータを活用していると答えた企業は6%にとどまった。
ガートナーは2011年からビッグデータの認知度と活動度合いを探る調査を実施している。同年から2013年にかけては、ビッグデータがIT業界の代表的なキーワードへとなっていた時期で、同社によれば、「よく知っている」「ある程度知っている」「多少知っている」と回答した企業の割合が毎年大幅に増えていたという。
だが、2014年11月の調査では、2013年と比較して認知度、関心度共に大きな変化は見られず、自社では実際にビッグデータを活用していると答えた企業は6%にとどまった。
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ビッグデータという言葉の知名度は上がっても、それへの取り組みで得られる価値はまだまだ浸透していないようだ。ガートナーによると、調査結果から、過半数の企業がビッグデータのことをいまだに「IT企業のはやり言葉として冷静に見ている」ことがわかったという。ビッグデータへの取り組みを進めるうえでの阻害要因を尋ねた設問では、48%の企業が、最大の阻害要因は「ビッグデータから価値を得る方法が分からない」ことであると回答している(図2)
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結果を受けて、ガートナーのリサーチ部門バイスプレジデントの堀内秀明氏は、「ビッグデータに関心はあるが、いざ自社で取り組むとなると、何をすればよいのか分からないというケースは、ガートナーに寄せられる問い合わせでも非常に多くなっている」とコメントしている。
堀内氏は、ビッグデータへの取り組み以前に、そもそも、データ活用のアイデアを積極的に出していける企業が非常に少ないようだと指摘する。「自社独自のデータ活用のアイデアを生み出す必要があると感じているものの、IT部門とユーザー部門の連携の弱さが、アイデアを見いだす上での大きな壁となっている」と同氏。ガートナーでは、このような状況を打開するために、データ・ディスカバリによるボトムアップ型アナリティクスの強化が、有望なアプローチの1つになりうるのではないかと見ている。
堀内氏によると、近年、ユーザーが、ストレスなく直感的にデータを分析できることに主眼を置いた、データ・ディスカバリ・ツールと呼ばれる製品が、いわゆるデータ分析のパワー・ユーザーを中心に注目され始めているという。「このようなアプローチを企業のデータ活用環境にうまく取り入れることができれば、新たなデータ活用のアイデアをエンドユーザーが自ら見いだせる可能性が高まるものと考える」(同氏)