IDC Japanは2015年7月9日、2014年の国内IT市場規模実績と2015年~2019年の市場規模予測について発表した。2014年は産業全体で2.4%の前年比成長率となるも、2015年はその反動でマイナス0.5%の成長と見積もられている。
IDC Japanによると、2014年の国内IT市場規模は多くの産業で伸びを見せ、全体で前年比2.4%の成長率で推移したという。同社は2015年の国内IT市場規模を14兆6435億円とし、前年比成長率は2014年の反動を考慮してマイナス0.5%と予測している。
各産業とも概ね横ばいかマイナス成長を予測するIDCだが、その中で比較的高めのプラス成長が見込まれる産業として、銀行(前年比成長率0.7%)、組立製造業(同0.8%)、プロセス製造業(同1.0%)、公共/公益(同1.6%)、官公庁分野(同0.7%)を挙げている。
銀行の場合、大手・地方銀行において大型案件が見込めるほか、製造業では、輸出産業を中心に円安の恩恵を受け業績が好調であることから、凍結していたシステム案件が再開し、同時に国内生産拠点強化のための設備投資が進むとIDCは見ている。また、公共/公益では、2016年の電力小売り完全自由化、2015年1月より施行が始まるマイナンバー制度などがIT支出を後押しするとしている。
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IDCは以前より、企業向けのコンピューティングモデルについて、モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成される「第3のプラットフォーム」の台頭を提唱してきた。今回、同社は2015年の第3のプラットフォーム市場の成長率を6.0%、第2のプラットフォーム(クライアント/サーバーシステム)市場の成長率をマイナス4.4%と予測。また、国内IT市場の構造変化は予測期間中も継続し、第3のプラットフォーム市場の2013年~2018年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.6%で拡大し、第2のプラットフォーム市場のそれはマイナス2.6%で縮小に向かうと予測している。
第3のプラットフォームのユーザー企業側での浸透について、IDC Japan ITスペンディングマーケット アナリストの岩本直子氏は、まず大企業を中心に第3のプラットフォームを導入し、徐々に中堅、中小へと浸透していく構図が見られると指摘。利用率はまだ低いものの、自社の産業分野に固有の領域で、第3のプラットフォームが支えるテクノロジーの活用が広がりつつあることが今回の調査で明らかになったと分析している。
「ITベンダーは産業分野別に固有のビジネス課題を理解し、ユーザー企業の規模とIT活用ステージに応じた第3のプラットフォームの可能性を提案することで、ユーザー企業の成長戦略を共に歩むパートナーとなるべきである」(岩本氏)
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内IT市場産業分野別 2014年下半期の実績と2015年~2019年の予測」(J15130302)で、その詳細が報告されている。