オンプレミスの次世代ITインフラとパブリッククラウドが相互に連携するハイブリッドクラウドに進むためには、クラウドサービスのAPI(Application Programming Interface)に対応しなければなりません。しかし、既存のITインフラが、そのAPIに対応しない限り、そこにはギャップが残ります。クラウドサービスのセルフサービス化も、誰もが便利に使えるまでには、まだしばらく時間がかかるのも事実です。こうしたギャップを埋めるために、重要な役割を果たすのがエコシステムです。
IT分野におけるエコシステムの定義
生物学の生態系(ecosystem)に由来し、IT分野では、関係し合う技術要素や、製品/サービスだけでなく、組織や人などが連携し、相互に補い依存し合うことで動的に形成されるシステムや、それに基づくビジネス、およびそのための仕組み
ハイブリッドクラウドへのギャップを埋める
クラウドのインフラサービスは本来、ネットワークを経由してデータを預かり、計算処理し、読み書きさせるというシンプルなものです。それをビジネスニーズに応え、迅速に使えるようセルフサービス化し、誰もが簡単に使えるようにメニュー化しているのです(第6回参照)。セルフサービス化とメニュー化により、クラウドサービスは安価になり、大量消費できるようになりました。
それは例えば、セルフサービスのファストフードのようなものです。高級レストランで食事をすれば、お店側がメニューの相談に乗り、テーブルまで料理を運んでくれます。セルフサービスでは、顧客の側がメニューの内容を理解していることが前提です。適当に頼むと「期待はずれだった」という経験は誰にもあるでしょうし、初めてのお店であれば戸惑うことばかりです。このメニュー化されたセルフサービスを、利用者のニーズに合わせて使いこなすために重要な役割を果たすのがエコシステムです。
クラウドサービスは単体ではなく、その周りにあるコミュニティや、コンサルタント、インテグレーター、パートナー、サードパーティーなどなどが連携し、相互に補い、依存し合うエコシステムを形成しています。このエコシステムが、使い慣れたレガシーなITインフラと、新たに登場したクラウドサービスの間に存在するギャップを埋めてくれます。
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