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ストレージを可視化して無駄なデータを徹底的に整理する

─データ活用高度化の起点となるHPE Storage Optimizer

2016年1月25日(月)

ビジネスを加速させる上で、データの巧みな利活用は喫緊の課題である。多くの企業が、すでに膨大なデータを蓄積しているものの、誰も使っていなかったり、重複したものが多数存在していたりするケースは少なくない。いたずらにリソースを浪費し、管理コストが膨れ上がるばかりだ。こうした現状にメスを入れるべく、ソリューションを提供しているのが日本ヒューレット・パッカードである。代表製品の「HPE Storage Optimizer」を軸に詳細を解説する。

 データの高度な利活用がビジネスの成長の原動力になる──。それは、どの企業にとっても極めて重要テーマである。その文脈において、昨今のテクノロジの進化によって企業が多種多様で膨大なデータをハンドリングし得るようになってきたトレンド、いわゆるビッグデータへの期待と関心は日増しに高まっている状況にある。

日本ヒューレット・パッカード ソフトウェア事業統括 インフォメーションマネジメント統括本部 事業戦略室 室長の徳久賢二氏

 もっとも、“ビッグ”という言葉が独り歩きし、データの量が多いほど有利のような捉え方があることに疑問を投げかける声もある。日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の徳久賢二氏(ソフトウェア事業統括 インフォメーションマネジメント統括本部 事業戦略室 室長)もその一人だ。「役立たないデータをいくら持っていても、宝として日の目を見ることはありません。ストレージをはじめとするインフラ資産を浪費する“お荷物”そのもの。経営に資する有用なデータは“スマートデータ”と呼ぶなどして言葉の使い分けをしたいところです」。

 では、ビッグデータとスマートデータの差分、つまりは企業にとって無駄なデータとは具体的にどのようなものだろうか。徳久氏は、大きく分けて「レガシーデータ」と「ダークデータ」があると指摘する。卑近な例として、ファイルサーバーに蓄積されている各種のデータの実態に照らせばイメージしやすいかもしれない。

 レガシーデータは、もう何年も誰からもアクセスされることなく、明らかに古くて“死蔵”されているデータを指し示す。すでに退職した従業員がバックアップとして保存していたデータが今なお残っているようなケースも見聞きする。

 一方のダークデータは、レガシーデータとまでは断言できずとも、本当に残しておくべき価値があるものかが疑わしいデータ群である。使われた形跡がほとんどない、ファイル名こそ異なっていても中味がほとんど同じで重複している、同じようなシーンの写真や動画がいくつもある…といった具合だ。

 基幹業務システムのデータベースに蓄積されるような定型データであれば、業務の実態を粛々と記録していくタイプのものなので、その価値についても判断基準を設けやすい。厄介なのは、先にも触れた、オフィス文書のような非定型データだ。予実管理表、見積もり書、商品説明書などビジネスに関わる資料がPCで大量生産されるようになり、それらはメールシステムやファイルサーバー、文書管理システムなどに片っ端から保存される。明確な運用ポリシーを徹底しない限りは、いたずらにデータが増え、その大部分が価値を生むことなくストレージの容量を食いつぶすといったことにつながってしまう。

 ストレージの容量単価が下落傾向にあるので、そうした実状には目をつぶり、必要とあれば買い足せばよいという考え方もあるだろう。しかし、野放図なままでは、データを探す際のユーザーの使い勝手は悪くなる一方だし、ストレージの調達や管理に関わるコストも積み重なることで大きく膨れ上がる。

図1 付け焼き刃の対策を見直さなければならない
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 「データを有効活用できる文化を育む、換言すれば真のデータドリブン企業になる起点は、データをどうハンドリングすべきかという明確な指針を持つこと。当社はユーザーの立場に立って支援していきます」と語るのは佐々木哲氏(ソフトウェア事業統括 プリセールス本部 インフォメーションマネジメント部)だ。HPEのようにストレージを扱うベンダーであれば、ハードを売った方が得策にも思えるが「ユーザーにとっての価値を考えることが当社のミッション。ストレージの中味を可視化して、無駄なデータを無意味に残さぬお手伝いに力を注ぐのは、その一例です」(同)。

メタデータに照らして重要度を自動的に判断する

 では、ファイルサーバーに代表されるデータの保存場所から、重要ではないものをどのように洗い出すのか。ここに、HPEは「HPE Storage Optimizer」と「HPE ControlPoint」という2つのソフトウェア製品を提供している。両製品は基本的なアーキテクチャは同じであり、後者がより多くの機能を備えた上位製品という位置付けにある。

 「HPE Storage Optimizer」は、同社が2015年10月に発表し11月から本格展開を始めた製品だ。ファイル名、拡張子、タイムスタンプ、最終更新、アクセス、作成者といったデータに紐付くメタデータを基に、必要かどうかを判断するポリシーを定義。それを使って不要なデータを抽出し、所定のアクションを実行するのが基本的な仕組みだ。

 所定のアクションとは、重複排除する、削除する、容量単価の安いセカンダリのディスクストレージやテープストレージに移動するといったものだ。例えばセカンダリのストレージに移動した場合、エンドユーザーから見れば、そのデータが元々あった場所にはリンク情報(オリジナルに見せかけるショートカット)が残したり、透過的なアクセスを提供する仕掛けを提供し、物理的な保存場所を知らなくても正しくアクセスできる工夫を施している。

図2 HPE Storage Optimizerの管理画面例
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 ポリシーについては、導入企業のインフラ管理者が自ら定義することができるが、各企業の事情に照らして不要データを見極めるのにはコツやノウハウがある。ここでは、HPEがこれまで蓄積してきた知見を活かしてコンサルしながら支援する体制を整えている。当然のことながら、一度定義したポリシーは、何度も使い回すことができる。「不要なデータを一旦整理しても、種々雑多なデータが次々に増えていくのが今の時代です。定期的に実行することが欠かせません」(徳久氏)。

日本ヒューレット・パッカード ソフトウェア事業統括 プリセールス本部 インフォメーションマネジメント部の佐々木哲氏

 かつては、インフラの運用管理担当者が各データへのアクセス権限を有していて、ある程度の手間をかけながらも余計なものを整理することができた。しかし、昨今では、コンプライアンスなどの観点から、運用管理担当者でもユーザーデータを勝手に操作できないようにしている企業も少なくない。ここで、ポリシーベースで一括処理できるツールの存在価値が際立ってくる。「決して目新しいテクノロジを使っているわけではないStorage Optimizerですが、ストレージの中身を可視化した上で、無駄を減らすという観点では、地に足のついたソリューションだと自負しています」とは佐々木氏の弁だ。

 国内においては、ファイルサーバーに蓄積しているデータの整理に対するニーズが根強いが、同製品はSharePointやExchangeなど、文書管理を担う各種の基盤製品を幅広くサポートしている。価格は、対象とするデータのサイズに応じた課金体系となっており、5TBで定価は185万5000円からだ。

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