デジタルビジネス時代において何が起きるのかを知る格好の場である米国。2016年末から2017年初めにかけて、Macy'sやWalmart、Searsといった大手小売業が店舗閉鎖に動いていることが明らかになった。例えばMacy'sは店舗網の15%に相当する100店を、Searsも傘下の店舗30店以上を、2017年中に閉めると発表している。オンライン販売へのシフトが進む中で、店舗面積の過剰が限界に来ているためだ。実際のところ、どうなっているのか?
米NCRのGlobal Sales担当上級副社長であるMichael B.Bayer氏大手小売業の店舗閉鎖が進む中で、数年前から喧伝されている「オムニチャネル」は奏功しているのだろうか。米国を拠点に、世界各国の小売業や金融業に幅広いソリューションを提供しているNCRのMichael B.Bayer氏(Global Sales担当上級副社長)に、小売業の実態と伴に聞いた。同氏は「オムニチャネルへの取り組みは、むしろこれからが本番」と言う。
−−小売業の世界では米Amazon.comなどEC事業者の業績拡大が続いている。店舗を有する企業は厳しい局面に直面しているのでは?
そういう面はあるがオンライン販売だけが原因ではない。競争は厳しいし、進化しないと生き残れないことの表れだ。そんな中で当社の顧客には驚くような変革を遂げている企業もある。オムニチャネルという言葉にしても、3年前は「それはどういうことか?」と聞かれることが多かったが、今では広く浸透している。一歩進んだ「オムニチャネル2.0」という言葉も出てきている。
もはやデジタル化対応は当然であり“デジタルエンタープライズ”と呼ばれる考え方の中で「元々、何からスタートしたのか」という業態の壁がなくなっている。顧客に何を提供するのかが問題の本質なのだ。
少し具体的に言えば、これは金融業も同じだが、2つの大きなトレンドがある。1つはチャネルに関することで、顧客コンタクトチャネルの変革だ。店舗やEC、モバイルなどのオムニチャネルへの取り組みである。もう1つは店舗に関わること。モバイル決済など支払いの仕組みを変革したり、金融業では窓口を機械化したりしている。
顧客が店舗に足を踏み入れた時、自動認識する技術は既にある。ファストフード店では来店前にモバイルで注文できる仕組みも採用が進んでいる。工夫次第で魅力ある店舗にできる。例えばデジタルサイネージは、まだ発展途上だ。
−−小売業から見た時、オンライン販売事業者のことをどうこう言うよりも、自らの変革を最優先するべきだと?
その通りだが難しい面もある。Amazon.comの決算を見て欲しい。利益の大半はクラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)が生み出しており、Amazon.com自体は利益を上げていない。利益を出さない販売により、市場の破壊を進めているようなものだから、小売業が怒るのも無理はないだろう。
一方で刺激になっている面もある。消費者はオンラインで買い物をするのと同時に、店舗で買い物する体験を求めている。ネット販売が始まって間もない頃、消費者は安さと便利さを求めた。“ショールーミング”という言葉に代表される、既存の小売業にとって破壊的な動きもあった。そうした段階を経て今の消費者、店舗を訪れる楽しさを求め始めている。ネットやSNSなどの情報を元に欲しい商品を探し、実際に買うのは店舗という傾向だ。実店舗でもオンライン販売と価格がそう変わらないところが増えているし、店に足を運べば、ふれあいや刺激があるからだ。
このような状況に小売業は対応する必要がある。大事なのが顧客ニーズに対応できる技術力を持つことだ。オンラインと比較して高い値段は付けられないし、店の在庫には限りがあるので、オムニチャネルの取り組みが必須になる。気に入ったジャケットを買うとき、サイズがなければ話にならないからね。
しかし多くの企業はオムニチャネルではなく、まだマルチチャネルの段階にある。ECなどオンラインと店舗をつなげているが、ごく限定されたことしかできない。今までは2つのトレンドのうち、物理チャネルの変革の時代だった。それに加えて今後はオムニチャネルへの投資が加速すると見ている。様々なCIO調査をみても、投資優先度の中でオムニチャネルはトップ3に入っている。
−−先ほど「オムニチャネル2.0」という言葉があった。それも含めてオムニチャネルの現状を聞きたい。
まず理解してほしいのは、チャネル変革とオムニチャネルの違いだ。チャネル変革は、スマートフォンやモバイルPOS、オンライン販売など、顧客と企業とのタッチポイントを変えたり工夫したりすることを意味する。例えば(Walmart傘下の)西友ストアは、フルサービスのPOSシステムに加えてセルフやセミセルフのPOSを導入している。目に見える変化があるし、日々進化させるものでもある。
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