中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。
3大キャリアが共同設立した中国鉄塔、香港市場でのIPOを目指す
―北京商報(2017年6月6日)
中国鉄塔は、中国3大通信キャリア(中国電信〈チャイナテレコム〉、中国聯通〈チャイナユニコム〉、中国移動〈チャイナモバイル〉)の通信インフラの設置・管理を共同で行い管理コストを大幅に削減することを目的に、2014年7月に3社共同出資で設立された会社だ。当初の社名は中国通信施設サービスだったが、マスコミが同社を中国鉄塔と呼んだことから、2014年9月の変更登記で正式な社名となっている。
その中国鉄塔が、香港市場でのIPO(株式公開)を行うための準備を進めていることが明らかになった。同社は2017年末または2018年上半期中には初回の公開を実現したい計画で、これにより調達した資金は、新業務の開拓と負債返済に充てるという。なお、IPOの融資限度額についてまだ公表されていない。
中国鉄塔がIPOを計画しているとの噂はこれまでにもたびたびあり、一説によれば先に香港市場での上場を済ませてから、中国本土のA株市場(中国国内投資家専用市場)に上場する予定で、調達資金の総額は100億米ドル(約1兆1222億円)に達するとのことだ。なお、中国鉄塔の董事長(代表取締役)である劉愛力氏は、過去のインタビューで、「中国鉄塔は1500億元の負債があるため、IPOは負債返済の大きな力になる」とコメントしている。
資料によれば、中国鉄塔の資本金は100億元(約1661億7800万円)で、中国3大キャリアによる総額2100億元相当の通信インフラを買い取り、株主構成はチャイナテレコム27.9%、チャイナユニコム28.1%、チャイナモバイル38%、そして2015年から戦略的投資家として迎え入れた中国国新(中国国務院傘下の中央国有企業を監督する国務院国有資産監督管理委員会が中央国有企業改革の一環として設立した国策会社)が6%となっている。中国鉄塔のWebサイトには、現在、同社が管理している鉄塔の総数は170万ありで、「世界最大の通信インフラ管理会社」であると謳っている。
蘇寧銀行が開業、IT企業による民営銀行業界への参入ラッシュへ
―新浪サイエンス(2017年6月16日)
中国最大の家電量販店ネットワークを傘下にEC事業やクラウドを展開している蘇寧云商(Suning)。同社は2017年6月15日付けの公示で、中国銀行監督管理委員会(日本の金融庁に相当)江蘇省管理監督局発行の金融業営業許可証を取得したことを明らかにした。これにより、翌16日午前付けで江蘇蘇寧銀行股フェン有限公司が正式開業した。蘇寧銀行の資本金は40億元(約664億3000万円)となっている。
蘇寧銀行は自らを「科学技術駆動型O2O銀行」と位置づけ、オンラインとオフラインを高度に融合させた成長モデルを打ち出していく構えだ。オンラインでは、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインを中心に、ビックデータをその基礎とすることで、中小零細企業と個人事業主のニーズに対し、安定した全方位的、包括的な金融サービスを提供するという。一方、オフラインでは、蘇寧云商のEC事業における実店舗の資源や、「財富センター」と題した金融サービスの実体験店舗などを通じて、ユーザーをオンライン/オフライン双方での金融サービスへと導くという。
中国ではIT企業による民営銀行の設立ラッシュが続いている。2017年1月には、中信銀行(China CITIC Bank)とバイドゥ(百度)がそれぞれ70%、30%の持ち分で設立予定の百信銀行が金融当局の許可を取得、2017年末に開業の予定だ。2016年末には新希望グループとシャオミ(小米)、成都紅旗連鎖の3社で設立予定の民営銀行が金融当局の許可を取得している。
さらに以前だと、2014年末から2015年中ごろにかけて、テンセント傘下の微衆銀行(WeBank)とAnt Financial傘下の網商銀行(MYbank)が開業している。このほかにも、IPTV会社のLeTV(楽視)が山西省で民営銀行の手続きに入ったとの情報もあり、多数のIT企業による民営銀行業界への参入ラッシュが止まらない状況だ。
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