中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。第100回にして最終回となる今回は、毎年恒例の中国人民政治協商会議の第13期全国委員会第1回会議および全国人民代表大会の第13期第1回会議における、中国IT業界のリーダーたちによるさまざまな議案や提言の模様をお届けする。
本連載の最終回となる今回は、毎年恒例の中国人民政治協商会議(中国の国会に相当)の第13期全国委員会第1回会議(3月5日~20日)および全国人民代表大会の第13期第1回会議(3月3日~15日)の会期中に話題となった、中国IT業界のリーダーたちによるさまざまな議案や提言の内容を紹介する。なお、前年の模様については、【中国電脳事情セレクション】AI国家戦略、スマートシティ、ベンチャー海外進出…中国IT業界リーダー5社が提言を参照されたい。
ハイアール総裁、COSMOPlatがIEEE国際標準制定をアピール
―物聯網世界(2018年3月6日)
中国家電大手ハイアール(海爾)総裁の周云杰氏は全国人民代表大会に代表(議員)として参加し、同社が取り組むインターネット基盤技術やIoT(Internet of Things)に関する同社の成果を次のようにアピールした。
IoTの究極の目的は万物を相互接続することだ。それは経済、特にコミュニティ経済を社会全体で共有するためである。これまでの10年間はモバイルインターネットの時代で、インターネット技術の統合は、世界的な影響力を持つ数々のネット企業の成長を促進してきたが、我々はついにIoT時代に突入した。インターネット技術とエンタープライズITの結合は、間違いなく有望で、IoTはモバイルインターネットに続く最大規模の経済活動となるだろう。
ハイアールはこの潮流に沿って、企業向けインターネットプラットフォーム「COSMOPlat」を開発した。2017年12月6日、世界4大標準化団体の1つ米国電気電子学会(IEEE)が提案書を議決し、COSMOPlatが主導したマス・カスタマイゼーションを国際標準として制定した。これは初めて中国企業の主導で制定された製造分野の国際標準となった。
我々はこれを「チャイナモード」と称しているが、実際、チャイナモードが世界の舞台の中心に躍進することとなった。COSMOPlatの「高精度ガイダンス下での高効率」と「ビッグデータに基づくスモールデータ」という2方面からアプローチは、ユーザー個々のニーズに寄り添って焦点を当てることになる。
シャオミ董事長、ホームオートメーション国家標準制定の必要を説く
―物聯網世界(2018年3月6日)
中国通信機器大手シャオミ(小米)の董事長、雷軍氏は今回の全国人民代表大会に2つの議案を提出した。1つは「ホームオートメーション国家標準の制定を加速させる件に関する提案」、もう1つは「『会社法』を引き続き改正し、起業環境を改善させる件に関する提案」だ。
まず、前者について雷氏は次のように指摘・提言した。「ホームオートメーションの爆発的な需要は中国に前例のないビジネスチャンスを与えている。ゆえに、ホームオートメーションの国家標準を早急に制定し、この産業の成長を高度な戦略的見地から考察すべきだ。そして業界標準が制定されたら、業界のさらなる成長の起爆剤とし、中国経済/産業構造の迅速な転換、インターネット/IoTの異業種融合を促進し、中国を製造大国からスマート大国へと移行させる源とするのである」
雷氏は続けて、「ホームオートメーション国家標準の早急な導入は、中国が世界の主導権を握るのに大いに役立つ。モバイルインターネットは伝統的インターネットの10倍の規模であり、IoTはモバイルインターネットの規模をはるかに超える。IoTは次の1兆元(約17兆3000億円)規模の産業となるだろう」とコメント。そのうえで、「IoTの異業種融合に関する大規模なデモンストレーションの実施」「伝統的製造業のアップグレードを促すのに必要な、各IIoT(業界IoT)への参入と研究開発費の増額」の必要性を訴えた。
浪潮グループ会長、医療分野での先端IT活用を促す
―物聯網世界(2018年3月6日)
中国サーバー機器/クラウドサービス大手の浪潮(Inspur)グループの取締役会会長、孫丕恕氏は、今回の全国人民代表大会で、医療分野におけるIoTやAI、ウェアラブルデバイスの活用に関する提言を行った。
「ブレスレッド、粘着パッド、カフ(腕帯)、眼鏡、これらがすべてウェアラブルであれば、高齢者は在宅で体重、血圧、血糖値、心拍数、睡眠時間などのデータを瞬時に解析し、クラウドサービスを通じて家族や医師に迅速に報告できるようになる。決して未来の想像ではなく、不断の技術革新により、今後の高齢者の生活の一部となろうとしている。
孫丕恕氏は、こうした先端のデジタル技術に裏打ちされた国民の老後を「スマート養老」と称して、人工化からスマート化、最終的には自動化というロードマップを示唆した。孫氏によると、近年成長著しいモバイル医療も代表例の1つで、こうした技術の中心にIoTがあり、各種センサー技術を駆使して高齢者の生活を見守るフォームとなっていると指摘。そのうえで「ビックデータは医療機関、地域コミュニティ、政府機関と高齢者をリンクさせる架け橋となる」と強調した。
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