[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】AI国家戦略、スマートシティ、ベンチャー海外進出…中国IT業界リーダー5社が提言

2017年3月30日(木)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

中国の代表的なIT企業のトップ5名が国家に提言

 今月は、毎回恒例の、中国の国会に相当する中国人民政治協商会議の第12期全国委員会第5回会議(会期:3月3日~13日)および、全国人民代表大会の第12期第5回会議(会期:3月5日~15日)の期間中に、中国メディア上で話題となった、中国IT業界の指導者たちによる様々な議案や提言についてお伝えする。なお、前年の模様については、【中国電脳事情セレクション】国を挙げてICT戦略の強化を―中国のビジネスリーダー17人の提言(http://it.impressbm.co.jp/articles/-/13501)を参照されたい。

百度CEO、AIを駆使して「行方不明児童問題の解決」「渋滞緩和」「イノベーション型国家の実現」を図ると宣言

―第一経済科技(2017年3月3日)

AIとビックデータ技術を活用して行方不明児童問題の解決に寄与する

 中国検索エンジン最大手のバイドゥ(百度)のCEOで、全国政治協商委員の李彦宏氏は、百度のAI(人工知能)およびビックデータ技術を活用して行方不明児童問題の解決に寄与したいと発言した。百度のAIは比較的成熟しており、幼少期の写真から成長後の容姿を推測することが可能だ。

 一般的に、誘拐された子供が公共の場に出現するのは就学時と言われており、小学校の学生証を作成する時に写真を撮る必要がある。そのタイミングで警察等の捜査機関を通じてこのAIを用いた操作をすることで、以前より高確率で行方不明児童の発見が可能なはずだとしている。

スマート交通信号を用いて渋滞緩和を行う

 百度の技術を用いれば、AI技術による交通信号の操作が実現可能であるという。百度は北京市海淀区の「后廠村」(本社所在地)で一部の実験を行っており、結果を北京市の交通管理部門に提出している。交通信号のスマート化で、信号待ちの時間を大幅に減少させることが可能になるという。

AIを各業界で応用し、イノベーション型国家経済を構築する

 これは、非常に広範囲にAIを各業界と融合させることで、さらなるイノベーションを創出するというものだ。これには政府によるアプローチが重要であるため、各省庁は管轄する事業に関連する産業政策を打ち出してAIとの融合を推奨するという。例えば交通の場合は、無人自動車の公道走行を許可する政策を打ち出す、製造業の場合は、従来の「コスト優位」から脱却し、AIと融合することでスマート化を実現するなどである。これらには関連の基準作りや推奨政策が欠かせない。

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