[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2017年8月の3本:VMware Cloud on AWSが提供開始/NTTデータとNTT Comがクラウド事業で連携/インターネット接続障害が広範囲で発生

2017年9月6日(水)松岡 功(ジャーナリスト)

2017年8月のニュースから松岡功が選んだのは、「VMware Cloud on AWSが提供開始」「NTTデータとNTT Comがクラウド事業で連携」「インターネット接続障害が広範囲で発生」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。

「VMware Cloud on AWS」が提供開始

 米VMwareと米Amazon Web Services(AWS)が2017年8月28日(米国時間)、AWSのクラウド基盤上でVMware環境を利用できるようにするサービス「VMware Cloud on AWS」を同日からAWSの米国西部(オレゴン)リージョンで提供開始すると発表した。

 両社は2016年10月にVMware Cloud on AWSを開発することで戦略的提携を発表しており、今回はそのサービスが商品になって提供開始された格好だ。今回の発表の舞台になったのは、VMwareが米国ラスベガスで開催したプライベートイベント「VMworld 2017」でのパット・ゲルシンガーCEOによる基調講演。そこにゲストとしてAWSのアンディ・ジャシーCEOが招かれ、揃ってVMware Cloud on AWSのサービス開始を公表した。

 VMware Cloud on AWSは、AWSクラウドのベアメタル上でVMware環境を実現し、ハイブリッドクラウドの構築を容易にするサービスである。

[選択理由]

 ユーザーのクラウド利用形態において選択肢が広がるからだ。とりわけ、AWSクラウド とVMwareの仮想環境を利用するユーザーの数が多いだけに、VMware Cloud on AWSのサービス開始は待ち望まれていたといえる。

 両社はVMware Cloud on AWSによってどういう関係になるのか。それは提携発表会でゲルシンガー氏が語った次のコメントに象徴されるだろう。

 「AWSはVMwareにとって主要なパブリッククラウドインフラのパートナーとなり、VMwareはAWSにとって主要なプライベートクラウドのパートナーになる」

 ユーザーにとっては、両社の利用環境を組み合わせたハイブリッドクラウドの構築が容易になると期待できる。大きな意味で、企業のクラウド利用への移行が加速する動きである。

NTTデータとNTT Comがクラウド事業で連携

 NTTデータとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が2017年8月29日、クラウド事業で連携することを発表した。NTTデータが2018年4月に稼働開始予定の新たなデータセンター「NTTDATA三鷹データセンターEAST」を拠点としたソリューション連携を強化し、両社の販売チャネルを通じて2020年までに事業規模1000億円を目指すとしている。

 NTTデータが建設中の国内最大級規模かつ最新鋭の新データセンターにおける信頼性の高いシステム運用・マネージドサービスの提供に加え、NTT Comが高品質・高信頼な各種ネットワークサービス、企業向けクラウドサービス「Enterprise Cloud」およびクラウド間接続サービス「SD-Exchange」などを合わせて提供する計画。

 これにより、同一データセンター内におけるセキュアなハイブリッドクラウド環境の構築を実現し、インフラ基盤からアプリケーションレイヤーまでのフルスタックサービスを一元的に提供するとともに、複雑かつグローバルなシステム拡張にも迅速に対応できる体制を強化する構えだ。(図1)

(図1)NTTデータとNTT Comのソリューション連携の仕組み(出典:両社の発表資料)
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