[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2017年8月の3本:VMware Cloud on AWSが提供開始/NTTデータとNTT Comがクラウド事業で連携/インターネット接続障害が広範囲で発生

2017年9月6日(水)松岡 功(ジャーナリスト)

2017年8月のニュースから松岡功が選んだのは、「VMware Cloud on AWSが提供開始」「NTTデータとNTT Comがクラウド事業で連携」「インターネット接続障害が広範囲で発生」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。

[選択理由]

 NTTデータとNTT Comのクラウド事業が国内外で一層勢いづくとともに、ユーザー企業にとっても信頼できるクラウド基盤を利用できる機会が広がると見られるからだ。

 さらに、両社の連携はNTTグループのクラウド事業再編にもつながる可能性がある。その根拠は、例えば両社は同じNTTグループだが、これまではNTTデータがシステムインテグレータ、NTT Comがキャリアとして活動してきた。その棲み分けを越える形で推進していく必要が出てきたのが、クラウド事業である。サービスの内容やビジネスの仕方には違いがあるが、とりわけデータセンター設備、つまりはインフラ部分において、NTTグループとして効率化を図れる可能性が高い。

 今回の両社による新たな取り組みがうまく進めば、両社が生み出したきめ細かいクラウドサービスを、同じく国内津々浦々でビジネスにしたいNTT東日本およびNTT西日本との連携が図られるかもしれない。そうなれば、持ち株会社の出番になるだろう。あとはグループ内でも異質なNTTドコモがどのような形になるか。

NTTグループにとっては、クラウドはまだ小さな事業だが、将来的にはネットワーク事業と並ぶ規模に育て上げたいという思惑がある。今回の両社の連携は、その第一歩というのが筆者の見立てである。

インターネット接続障害が広範囲で発生

 2017年8月25日正午過ぎから国内の広い範囲でインターネットに接続しにくくなる通信障害が発生した。これにより、インターネット接続サービスをはじめとして幅広いネットサービスが一時的に利用できない状態となった。一連の障害による混乱は同日夕方まで続いた。

 これに対し、米Googleが翌26日に、同社によるネットワークの誤設定が通信障害の原因だったことを認め、謝罪した。そのうえで同社は、誤った経路情報を配信したものの、「8分以内に正しい情報に修正した」という。

[選択理由]

 現在では企業においてもさまざまな形でインターネットを利用していることから、今回のような通信障害もリスクマネジメントの一環として対策を講じておくことが望ましいと考えるからだ。

 今回の通信障害の原因をつくったGoogleは、情報検索などで世界的に大きな存在感と影響力を持っている。その意味では、サイバー攻撃ではなかったものの、大手事業者が1社でもミスをすれば大きな混乱を招くネット社会の脆弱性が浮き彫りになった形だ。私たちはそのことをしっかりと認識しておく必要がある。

筆者プロフィール

松岡 功(まつおか・いさお)
ジャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)などがある。

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