[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】テンセント開発のAI、食道癌の早期スクリーニング臨床試験に採用、ほか

2017年9月26日(火)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

ファーウェイとテンセントで企業間紛争?

―澎湃新聞(2017年8月8日)

 中国通信機器メーカー最大手のファーウェイと、中国トップクラスのIT企業となったテンセント。この2社で企業間紛争が起きているという。

 両社の紛争の発端は、ファーウェイ傘下ブランドHonorの最新スマートフォン「Honor Magic」に搭載されている新機能だ。この機能はスマートフォン端末を通じてユーザーのさまざまな活動をデータ化して収集し、その特性や方向性を同端末のアプリが提供するAIサービスに反映させるものだが、その活動データの主な入手先が、テンセントの国民的メッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」のデータであったため、テンセントが抗議を行った模様だ。

 テンセントの見解は概ねこのようになる――ファーウェイのこうしたサービスは事実上、テンセントの管理するデータを奪う行為になる。それと同時にWeChatユーザーのプライバシーを侵害する行為である――。また、業界筋の話によれば、テンセントはこの紛争に中国政府が介入することを要求しているという。

 ユーザーのデータはだれに帰属するのか、その2次使用の限界はどこなのか、その現状は漠然としている。工業・情報化省にこの問題に対する見解を問い合わせたところ、同省より「長年、工業・情報化省は一貫して寛容かつ慎重にイノベーションを奨励するという原則の下、情報通信産業の中から出てくる新技術、新業態、新モデルに対して積極的に指導を行い、情報通信産業の健全かつ秩序ある成長を促進してきた」とした。

 そのうえで、「今回のテンセントとファーウェイ間のスマートフォン新機能に関する紛争に関しては、当省は関係法令に基づいて、企業に内部管理の強化や規範化を指導し、業界の自立性を高めるため、双方に対話による解決を積極的に促していく」という趣旨の回答を寄せた。

 一方のファーウェイは、新機能がユーザーのプライバシー権を侵害しているかについて、以前「すべてのユーザー情報はそのユーザーに帰属しており、WeChatや当社のどちらにも帰属していない。また、この新機能はあらかじめユーザーに使用許可を求めており、そこで収集した情報は本端末上のアプリで処理するため、クラウドなどの外部に持ち出していない。このことは工業・情報化省も把握している」とコメントしている。

 テンセントは、ファーウェイとの紛争について正面からのコメントを控えた。「当社はすべての端末メーカー、通信事業者、サードパーティアプリ開発者との良好な関係を維持しており、インターネットの健全な未来のために、監督機関との連携を強化していく」と表明するにとどまっている。

中国の4Gユーザー総数が9億1000万人に

―中国通信網(2017年8月21日)

 中国でIT部門を司る工業・情報化省は先ごろ、「2017年1-7月における通信業界の経済運営状況」を発表した。それによると、中国の4G通信サービスユーザーは比較的早いスピードで増加を続け、総数で9億1000万人ユーザーに達した。これは携帯電話ユーザー全体の66.3%を占めるという。

 また、中国3大通信キャリア(チャイナテレコム、チャイナユニコム、チャイナモバイル)の携帯電話ユーザーを足すと13億7000万に達し、うち2017年1-7月期の累計増加数は5077万ユーザーであった。

チャイナモバイルクラウド事業者免許を交付

―捜狐(2017年8月22日)

 中国工業・情報化省は2017年8月22日、「経営許可事項変更申請批准名簿」を公表した。これにより、中国3大通信キャリアの1社であるチャイナモバイル(中国移動通信)と金山クラウド(KSYUN.COM)の経営許可に「インターネット資源に係るサポートサービス」が追加された。ただし中国の通信業界では、この許可はすなわち「クラウドサービス業務の免許」であると認識されているため、両社は正式にクラウド事業免許を取得したかたちとなった。中国で同免許を得ているIT企業はこれで16社となった。

 また、金山クラウドは、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)の免許を保持しているため、CDNとクラウドサービスの双方の免許を保持する企業となった。なお、チャイナモバイルはまだCDN免許を取得していない。

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