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ニュータニックスが仮想化基盤のOSを強化、GPU対応・デプロイ機能・1ノード構成など実現

2017年12月12日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品を提供する米Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンは2017年12月12日、12月6日にリリースした最新OS「AOS 5.5」の新機能を説明した。サーバー仮想化ソフト「AHV」や管理ツール「Prism」の新機能、新たに追加したシステムデプロイ(配備)機能「Calm」などについて説明した。

写真1:ニュータニックス・ジャパンでシニア・システムズ・エンジニアを務める島崎聡史氏写真1:ニュータニックス・ジャパンでシニア・システムズ・エンジニアを務める島崎聡史氏
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 HCIアプライアンスは、アプライアンス機器の台数を増やすだけで規模を拡張できる仮想サーバー基盤である。個々のノードは、ローカルストレージを内蔵したPCサーバー機であり、ここでサーバー仮想化ソフトと分散ストレージソフトを動作させている。

 米Nutanix製品では、サーバー仮想化ソフトとして、KVMベースの独自ソフト「AHV」、VMware ESXi、Hyper-Vの3種類のいずれかを利用できる。

 2017年12月6日に、HCIアプライアンスのソフトウェア(分散ストレージソフトや管理ソフトなど、HCIを実現するための基本ソフト群)をAOS 5.5へとバージョンアップした。新版では、AHV新版への対応、I/O性能の向上、管理機能の強化、デプロイ機能の新搭載、などを図った。

小規模向けに1ノード構成と2ノード構成でも販売

 今回から、小規模の需要に合わせて、1ノード構成と2ノード構成でも提供する。これまでの最小構成は3ノードだった。1ノード構成は、物理サーバー1台のサーバー仮想化環境そのものである。エッジコンピューティングなどの需要に応える。一方、2ノード構成は、ノード間でデータを2重化するなど、可用性の要件がある小規模な用途に向く。

 HCI間のリモートレプリケーション機能の新機能として、準同期リモートレプリケーション「Near Sync」も追加した。これまでのリモートレプリケーションは60分間隔だが、Near Syncでは1分間隔に短縮した。ネットワーク帯域に余裕があれば、RPO(目標復旧地点)を1分以内へと短くできる。

 ソフトウェアベースのデータ暗号化機能も追加した。AES 256でストレージデータを暗号化できる。従来はデータ暗号化機能を備えたドライブを使う必要があったが、新たにストレージソフトウェア側で暗号化できるようにした。

独自ハイパーバイザ「AHV」はGPU対応やIOのマルチスレッド化

 AOS新版では、サーバー仮想化ソフトAHV新版の機能群を利用できるようにした。NutanixのHCI製品を使うユーザー企業のうち、AHVの採用率はグローバルで28%、アジア太平洋地域では35%に達する。残りはVMware ESXiまたはHyper-Vだが、AHVの採用率が年々伸びている。

 AHVの新機能の1つは、I/O処理のマルチスレッド化である。KVMが標準で備えているI/Oモジュールを置き換える形で、自社開発のI/Oモジュールを使う。これにより、ストレージI/O性能のボトルネックを解消したとしている。

 AHVの新版ではまた、VDI環境でCADアプリケーションを使うような需要に向けて、仮想サーバーからGPUカードを使えるようにした。パススルー型でGPUを割り当てるやり方と、1枚の物理GPUを複数の仮想サーバーで共有して仮想GPUを割り当てるvGPUのやり方ができる。GPUとして、まずは米NVIDIAのTesla M10およびTesla M60を利用できるようにした。

 AHVの新版では、仮想スイッチによって個々の仮想サーバーのネットワークセグメントを分離するマイクロセグメンテーション機能も、技術プレビューとして実装した。個々の仮想サーバーごとにファイアウォールのポリシーを割り当ててアクセスを制御できる。

 既存の仮想環境(VMware vSphere)からAHVへと移行するツール「Xtract for VMs」と、データベース(SQL Server)のサーバーをAHVへと移行するツール「Xtract for DBs」も、無料のツールとして提供を開始した。

システム一式をデプロイするテンプレート機能「Calm」

 管理機能「Prism」の強化では、あらかじめ設定しておいた定型項目を監視するだけでなく、アラートを上げる項目を自動で設定できるようにした。平常時の状態からベースラインを学習しておき、これを大きく外れる例外的な負荷を計測した際に、アラートを上げられるようにした。将来の性能を予測してレポートとして報告できるので、ノード増設などの意思決定に役立つ。

 新たな管理機能として、業務システムのデプロイ(配備)をテンプレート化する新機能「Calm」も用意した。買収した米Calm.ioの製品を管理機能のPrism Centralに組み込んだものである。

図1:デプロイ管理機能「Nutanix Calm」では、複数システムで構成する業務システムの構成や設定内容をまとめたテンプレート「ブループリント」をGUIで設計できる(出典:ニュータニックス・ジャパン)図1:デプロイ管理機能「Nutanix Calm」では、複数システムで構成する業務システムの構成や設定内容をまとめたテンプレート「ブループリント」をGUIで設計できる(出典:ニュータニックス・ジャパン)
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 Calmは、複数のサーバーで構成する業務システム一式の構成と作成手順をブループリントとしてテンプレート化しておくことで、NutanixのHCIやパブリッククラウドサービス(まずはAWS)など任意の仮想サーバー環境へと業務システムをデプロイできる機能である。

 テンプレートであるブループリントは、GUIで作成できる。例えば、負荷分散装置やデータベースサーバーを含んだWeb 3層システムなどをテンプレート化しておける。また、テンプレート形式で各種ソフトウェアを入手できるマーケットプレイスも用意している。

将来はドライブを内蔵しないコンピューティング専用ノードも用意

 今回のAOS 5.5では実装していないが、将来実装する2つの機能についても発表した。

 1つは、ストレージを内蔵しない、コンピュート専用ノード「Acropolis Compute Cloud」(AC2)である。ストレージ性能は足りているがCPU性能が足りていないケースなどに適する。

 もう1つは、NutanixのHCIを外部からオブジェクトストレージとしてアクセスできるようにするストレージヘッドソフト「Acropolis Object Storage Services」(AOSS)である。

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