矢野経済研究所は2018年1月19日、屋内位置情報システム市場に関する調査結果を発表した。2018年度の売上は前年度比42.8%増の30億7000万円、2020年度には52億5000万円、2022年度には78億5000万円に成長する。製造業を中心とした業務分野での採用が拡大している。
矢野経済研究所によると、屋内位置情報システムとは、「屋内測位技術」と「屋内地図情報」を利用した、屋内向けの位置情報活用サービスを指す。
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また、屋内測位技術とは、GPS衛星などの無線信号が届かない建物内や地下街でも測位可能な技術で、屋内地図情報とは、駅や空港、大規模な商業施設などにおいてナビゲーションの用途で使われる電子地図情報と説明している。
屋内測位技術として、RFID、無線LAN、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(超広帯域無線)、IMES(Indoor Messaging System)、音波(非可聴音)、PDR(歩行者自律航法)などを挙げている。
2016年度の国内の屋内位置情報システム市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比55.4%増の14億3000万円と推計。2017年度の同市場規模は21億5000万円になる見込み。2017年度の売上は前年度比で50.3%増になるが、期待されるほど大きな数値とは言い難く、市場は未だ黎明期という。
分野別では、現時点で最も導入実績が多いのは、工場などの製造業分野であり、市場の過半数を占めている。屋内位置情報システムはB2Bでの導入が効果的であり、製造業はこの条件に一致しているという。
2018年度の国内の屋内位置情報システム市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比42.8%増の30億7000万円、2020年度には52億5000万円、2022年度には78億5000万円に成長する。
成長の背景について同社は、自動車分野をはじめとした一定規模の設備導入予算を持つ製造工場への導入が進展していくことや、複数の大手自動車メーカーの工場への導入が決定したこと、UWB技術などを利用した屋内位置情報システムが順調にさまざまな製造業に広く導入されていくことなどを挙げている。