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SAPジャパン、シェアリングエコノミーを取り入れた人材調達クラウド「SAP Fieldglass」の提供を開始

2018年4月18日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

SAPジャパンは2018年4月17日、独SAPがグローバルで展開する人材調達プラットフォーム「SAP Fieldglass」をローカライズし、日本市場で提供を開始したと発表した。SAPが「人財シェアリング」と呼ぶプラットフォームで、専門的スキルを有する人材とそうした人材を求める企業をタイミングよくマッチングする仕組みをSaaSで提供する。

 自社のビジネスを取り巻く著しい環境変化の中で市場競争優位を保つために、デジタルトランスフォーメーション(DX)が全業種の共通課題となっている。SAPジャパン代表取締役社長の福田譲氏は、「DXの過程では『ヒト』、つまり時代のニーズに応じた事業の立ち上げ・強化に必要な人材のトランスフォーメーションも不可欠となる」と述べて、求める人材を時宜よく確保・獲得するための戦略・施策が重要になると強調した。

 その際に採用対象となるのは、企業に所属して働く従業員だけでなく、専門性を強みに活動するフリーランスの人材も含まれる。最近では、シェアリングエコノミーやギグエコノミー(Gig Economy:WebやSNSを通じて単発で業務を委任/委託する形態)も広がるなど、働き方の多様化にも対応していく必要が生じている(図1)。

図1:SAPが考える「ヒト」のデジタルトランスフォーメーション(出典:SAPジャパン)
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 「SAP Fieldglass」は、SAPが2014年に買収・統合した米Fieldglassの人材調達プラットフォームを基に、SAPの方法論や技術を加えて開発されたクラウドサービスである。買収前からの顧客を含めて、すでに世界180カ国以上の約650社で活用されているという。

 SAPジャパンはFieldglassを「“人財”のシェアリングエコノミーを実現するサービス調達プラットフォーム」と位置づけ、雇用側の企業、人材、人材が登録する人材サービスの3者が同プラットフォームを介してタイムリーな人材マッチングを行える仕組みを提供する。

 同社代表取締役社長の福田譲氏は、タイムリーな人材マッチングを、タクシーと乗客を動的に結ぶことのできるUberに例えつつ、「雇用側としては、自社が求める専門スキルを持つすぐれた人材を迅速に確保できるようにしたい。人材側としては、自身のスキルを強みに働くことができて、かつフェアな評価を受けたい。Fieldglassは雇用側と人材側それぞれのニーズにタイムリーにこたえることができる」と説明した。

 図2は、ビフォー/アフターで示した、Fieldglassの人財シェアリングプラットフォームの仕組みだ。一般的な求人は部署ごとに求人・雇用が行われ、求めるスキルにピッタリの人材を確保できるかどうかはタイミング次第で、その人材が別の部署でも適性を示していたとしてもその情報が企業内で共有されることはない。

図2:Fieldglassの人財シェアリングプラットフォームの仕組み(出典:SAPジャパン)
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 一方、Fieldglassの人財シェアリングプラットフォームでは、人材や人材サービス会社ではさまざまなスキル、雇用形態の人材を「タレントプール」として可視化し、雇用側の企業は部署ごとではなく、タレントプールの人材を見渡すかたちで求人を行う仕組みをとる。

 例えば、これまでなら契約年数や年度、プロジェクト時期などの要因から、欲しいのに雇用できなかった人材も、タレントプールで情報が可視化されているので、最適なタイミングを見計らったり、条件がマッチした別の部署がその人材を獲得に動くことも可能になる。人材側も、自身のスキルセットや希望の働き方を雇用側に見てもらいながら機会を待てる、という筋書きだ。

 同社SAP Fieldglass事業本部 本部長の大澤毅氏は、Fieldglassに備わる機能面での特徴として、上述のタレントプールの視覚化を担うダッシュボード「Live Insights」を、デモを交えて紹介した(写真1)。マシンラーニング技術を用いて、求人対象の地域、スキル、平均給与などの条件から、どのくらいの期間、コストでの雇用が可能化のシミュレーションなどが可能になっている。

写真1:タレントプールの視覚化を担うダッシュボード「Live Insights」。ビッグデータ分析、機械学習、IoT、ブロックチェーンといったSAPのデジタルイニシアティブ「SAP Leonardo」によって実装されている。
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 さて、グローバルで実績豊富といっても、Fieldglassが日本国内の法律や習慣にマッチするのかどうかはユーザーにとって重要事項である。大澤氏によると、日本市場向けのローカライズでは、改正労働契約法、改正派遣法、下請法、36協定といった関連法制への対応をはじめ、採用・雇用・業務委任・派遣にまつわる日本固有の要件を約1年かけて取り込んだという。

 国内の先行ユーザーとして、アビームコンサルティングの事例が示された。世界11カ国で事業を展開している同社は、グローバル全体での人材シェアリングを目指してFieldglassの導入を決定。今後は米国、中国、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、韓国の各現地法人にも導入を広げ、人材調達のグローバルガバナンスを図っていく計画という。

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