日本ヒューレット・パッカードは2018年4月23日、ディープラーニング(深層学習)などのAI(人工知能)用途に適したGPU搭載サーバー機の新モデル「HPE Apollo 6500 Gen10 System」を発表、同日販売を開始した。新モデルでは、ラックマウント型とするなど、汎用PCサーバーと同等の運用管理性を確保した。価格(税別)は、GPUを搭載しない最小構成で248万5000円。
HPE Apollo 6500 Gen10 Systemは、GPU搭載サーバー機である。4Uラックマウント型のきょう体に、最大で8枚のGPUカードを搭載できる。GPUカードは、PCI Express接続か、または米NVIDIAが開発したGPU接続機構であるNVLinkを利用する。きょう体に搭載するGPU接続モジュールの交換によって、PCI Express接続とNVLink接続を切り替える。
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前モデル「HPE Apollo 6500 Gen9 System」と比べた改善点の1つは、汎用PCサーバー機(ProLiant DL380)をベースに構成し、汎用PCサーバーと同等の運用管理性を確保したことである。例えば、きょう体はラックマウント型であり、ラックに搭載できる。電源の2重化やホットプラグ可能なファンなど可用性も確保した。OSは、Red HatやSUSEなど標準のLinux OSが動作する。
汎用PCサーバーと同等に使えることから、一般的なユーザー企業のAI(人工知能)業務システムに適するとしている。例えば、ディープラーニングを活用した外観検査や人物検出、自動翻訳、といった用途である。これに対して、前モデルのApollo 6500 Gen9は、一般のユーザー企業の業務システム向けではなく、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用途に特化していた。
スペックも高めた。CPUを現行世代に切り替えたほか、メモリーを16枚から24枚へと増強、ネットワークは100GbE×2枚を4枚に増強、ストレージは8本から16本に増強(うち4本はNVMe)した。GPUカードは、ハイエンドモデルで新たにNVLinkで接続できるようにしたほか、PCI Express接続の構成(CPUあたりGPUを4枚つなぐか8枚つなぐか)を後からBIOS設定で切り替えられるようにした。
同社は、新モデルであるApollo 6500 Gen10の提供に合わせ、AI活用を支援するサービス群も整備した。ユーザー企業のAI企画を支援するサービスとして、セミナーやワークショップ、教育サービスを提供する。AI業務システムの実装フェーズでは、システムのコンサルティングやPoC環境の構築などを行う。運用フェーズを支援するサービスや、オンプレミスシステムの従量課金制度なども用意している。
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2018年6月には、GPUの性能をリモートから検証可能なベンチマークセンターを日本ヒューレット・パッカードの本社にあるソリューションセンターに設置する。Apollo 6500 Gen10に、NVLink接続のNVIDIA Tesla V100を8枚搭載した環境を利用できる。
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