日本ヒューレット・パッカードは2018年6月5日、コンテナ型のアプリケーションを配備して実行させるためのサーバー基盤として、ブレードサーバー型のインフラ基盤製品「HPE Synergy」を利用するリファレンス構成(検証済みの参照構成)を発表した。HPE Synergyと、米Red Hatのミドルウェア「Red Hat OpenShift Container Platform」を組み合わせて利用できるようにする。
日本ヒューレット・パッカードは今回、Dockerコンテナを運用する基盤ミドルウェアであるRed Hat OpenShift Container Platformのリファレンス構成(推奨の参照構成)を発表した。これを導入することで、コンテナ型アプリケーションの実行環境を簡単に準備できるとしている。
製品提供の背景について同社は、コンテナ化したアプリケーションを実稼働環境に展開しようとすると、コンテナの拡張性、セキュリティの確保、永続データストレージの実現、管理性などの課題に直面することを挙げている。コンテナ化したアプリケーションを実稼働環境に展開しやすくする製品として開発したという。
サーバーハードウェアに、同社のブレードサーバー型インフラ基盤であるHPE Synergyを採用した。普通のPCサーバー機を使ってシステムを構築する場合と比べてハードウェアのライフサイクル管理やメンテナンスにかかる負荷を低減できるため、サーバー仮想化環境やコンテナ環境に適するとしている。
外部ストレージとして、「HPE 3PAR」や「HPE Nimble Storage」も組み合わせて提供する。Red Hat OpenShift Container Platformの永続ストレージ機能を使って、必要に応じてストレージボリュームを配備できる。コンテナのデータを保護できるほか、用途に合わせてストレージ性能をQoSで制御できる。
SI(システム構築)サービスも提供する。Red Hat OpenShift Container PlatformとHPE Synergyと組み合わせたコンテナ実行環境をリファレンス構成に合わせて構築し、教育サービス込みで提供するサービス「コンテナ Shift(シフト)パック」を用意した。SIサービスでは、ハードウェアとして、HPE Synergyだけでなく、分散ストレージソフトとサーバー仮想化ソフトを組み合わせたHCI製品「HPE SimpliVity」も選択できる。
なお、HPE Synergyとは、サーバー(CPUとメモリー)、ストレージ、ネットワークなどのコンポーネント(部品)をリソースプール化し、ここから必要なリソースを切り出して業務システムに割り当てることができるインフラ基盤である。リソースの共有化によって、余剰な投資を抑制できる。
2018年4月には、HPE Synergyの上で米VMwareの仮想化ソフトウェア群「VMware Cloud Foundation」を動作させるためのリファレンス構成を企画し、「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」として販売した。これは仮想サーバーの実行基盤だが、今回はコンテナの実行基盤を企画した形である。