スキャリティ・ジャパンは2018年8月1日、オブジェクトストレージを構築できるSDS(ソフトウェア定義型ストレージ)ソフトの新版として、パブリッククラウドの管理機能を追加したメジャーバージョンアップ版「Scality RING 8.0」を発表した。2018年第4四半期に出荷する。また、2018年8月1日付けで、現行版の新版「RING 7.4.1」を出荷した。新版では、より小規模となる3ノード構成から構築できるようにした。
Scality RINGは、ソフトウェアで実現したスケールアウト型のオブジェクトストレージである(関連記事)。分散KVS型のソフトであり、ハッシュリング方式でデータを分散格納する。Scality RINGをインストールしたサーバー機(ストレージ)の台数を増やすだけで容量を拡張できる。データのコピーを複数ノードに同時に保存することによって可用性も確保している。
業務サーバーやバックアップソフトなどからは、オブジェクトストレージ(HTTP)またはファイルサーバー(CIFS/NFS)としてアクセスする。特徴は、Amazon S3互換のAPIでオブジェクトにアクセスできることである。Amazon S3と同等のストレージ環境をオンプレミスなどに構築できる。
RING 8ではマルチクラウドにデータを保存
2018年第4四半期に、メジャーバージョンアップ版にあたるRING 8.0を出荷する。RING 8.0では、RINGの関連ソフトでAmazon S3 APIを介してマルチクラウドにアクセスできるゲートウェイソフト「Zenko」の機能の一部を搭載する。これにより、パブリッククラウドを含むマルチクラウドのストレージを管理できるようにする。
RING 8.0では、アプリケーションにとって最も適切なクラウドを選んで利用できる。オブジェクトのライフサイクルに応じてオブジェクトを削除したり、クラウド間で移動させたりできる。RINGとパブリッククラウド間の非同期レプリケーションや、1対多で他のRINGやパブリッククラウドへの非同期レプリケーションができる。
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RINGやパブリッククラウド(Amazon S3やAzure Blob Storageなど)のメタデータを取得し、これらを結合して横断的に検索するメタデータサーチ機能を利用できるようにする。マルチクラウドをまたいで、PDFなどのデータタイプで抽出したり、ファイル名で抽出したりといった検索ができるようになる。
最小3ノードから構築可能に、サーバー費用を半減
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今回提供を開始した現行版の新版(RING 7.4.1)では、最小構成時のサーバー台数(ストレージ台数)を3台とした。従来は最小構成でも6台のサーバー機が必要だったが、3台へと半減させた。ストレージ容量が少ない容量200Tバイトの構成では、サーバー機6台と比べてハードウェアコストを半分に減らせる。容量1ペタバイトの構成でもハードウェアコストを30%減らせるとしている。
RINGをインストールした製品として、サーバーベンダーが販売するストレージアプライアンス製品も、3ノードのエントリー構成を用意する。PCサーバー機に米Hewlett-Packerd Enterprise(HPE)の「Apollo 4200」または「Apollo 4500」を使ったストレージや、米Cisco Systemsの「UCS S3260」を使ったストレージが該当する。
新版のRING 7.4.1ではまた、管理画面を刷新し、操作性を高めた。Amazon S3と同等の使い方ができるようにしたとしている。マルチテナント型で利用できるほか、AWSスタイルのアクセス制御ポリシーの定義と管理ができる。AWS IAM(Identity and Access Management)互換のサービスも独自に実装した。