NECは2018年9月21日、埼玉県から、AIを活用したチャットボット(自動応答ソフトウェア)による「AI救急相談自動応答システム」を受注したと発表した。県民の急な病気やケガによる救急相談の利便性向上と、適正受診の推進による救急医療機関の負荷軽減に向けて、2019年7月からの本格稼働を予定している。
埼玉県では、救急医療体制の充実を目的として、急な病気やケガによる対処方法の相談や医療機関の案内を受けられる救急電話相談を実施しており、2017年10月からは24時間365日体制で相談を受け付けている。また、埼玉県における救急電話相談の相談件数は年間約15万件に及んでおり、これらの救急電話相談を相談員である看護師が1件1件対応し、利用者ごとに緊急度や医療機関への受診の必要性などをアドバイスしている。
「AI救急相談自動応答システム」は、NECのAI技術である「テキスト含意認識技術」を活用した「NEC 自動応答」を用いて、スマートフォンなどからいつでも相談できるチャット形式による救急相談の自動応答サービスを提供するものだ。
同システムの導入により、県民への「手軽につながる救急相談」を可能とするサービスを提供するとともに、相談員による応対業務の負荷軽減も図る。また、聴覚・音声・言語機能に障害のある人も利用できるため、県民へのサービス向上とダイバーシティの実現を支援する。
具体的には、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つであるテキスト含意認識技術の活用により、埼玉県のWebサイト上に公開された、チャット形式による専用受付から入力した救急相談の文章構造を自動で分析する。これによって、症状別のデータベースから適切な対処方法や緊急度などを判定し、高精度かつ高速に回答を行うことを可能にする。
全国の救急電話相談の対応実績・ノウハウを持つダイヤル・サービスとの連携により、電話応対ノウハウを活かした高品質な対話シナリオを作成し、リアルな救急相談事例に基づいた自動応答チャット相談を可能にする。