工作機械を製造しているオークマは2018年10月29日、マシンラーニングによって工作機械が自律的にドリル加工の診断を行う技術「OSP-AI加工診断」をNECと共同で開発したと発表した。工作機械みずから、ドリル加工の異常を検知し、工具の摩耗状態を可視化する。これにより、ドリル工具と工作物の損傷を防止できるほか、工具費を削減できる。
オークマは、ディープラーニングによって、工作機械みずから、ドリル加工の異常を検知し、工具の摩耗状態を可視化できるようにした。工作機械を内製している強みを生かして、工作機械の制御情報から加工状態の情報をリアルタイムに得られるようにした。ディープラーニング技術にはNECの「RAPID機械学習技術」を採用した。

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OSP-AI加工診断を活用することによって、突発的に発生するドリル加工の異常を検出し、ドリルが破損する前に加工を停止できる。さらに、工作物からドリルを離す退避動作をあわせて行い、工作物と工具のダメージを最小限にする。
瞬間的な現象であるドリルの加工異常を、制御装置の内部情報から瞬時に検知する。このための方法として、内部情報をデジタル処理する技術と、精度の高い診断を高速に実施するためのAI技術を開発した。
開発の背景について同社は、ドリルが突然破損すると、折れたドリルを工作物から取り外すことができなくなることがある点を挙げる。「この場合、工作物の損失となって生産コストの増加につながる」という。
また、加工状態を分析することによって、ドリルの摩耗状態も可視化する。可視化グラフをもとにドリルを交換するタイミングを決めることで、工具費用を削減できる。工具寿命が設定寿命の1.4倍にまで高まる場合があるとしている。

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取り組みの背景について同社、ドリルの交換は、実際の寿命に対して、安全を見越して行うため、寿命の6~7割で交換していることを挙げる。「ドリルの摩耗状態を可視化することによって、工具の寿命に近い状態で交換できるようになる」(同社)。