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RFIDで医療材料のトレーサビリティを管理、NTTグループとスミス・アンド・ネフューが実証実験

2018年11月16日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NTTロジスコとNTTデータは2018年11月16日、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew)の協力の下、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティの実証実験を11月から開始すると発表した。整形外科インプラントなどの、在庫管理が煩雑な短期貸出領域にRFIDタグを活用する。

 NTTロジスコとNTTデータの実証実験では、製造販売業者の製品(医療材料)に貼り付けたRFIDタグを用いて、医療材料の利用状況を追跡する。これにより、リアルタイムな在庫/使用確認が可能になる。販売代理店や特約店は、受発注業務を迅速化できるほか、業務を効率化できる。製造販売業者は、在庫を削減できるほか、滅菌切れによる廃棄を削減できる。

図1:「短期貸出」のサプライチェーンの概要(出典:NTTデータ)図1:「短期貸出」のサプライチェーンの概要(出典:NTTデータ)
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 NTTロジスコはRFIDタグの貼り付け、NTTデータは実証用システム構築を担当する。医療機器メーカーであるスミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew)は実験のフィールドを提供する。実証実験は、2018年11月から12月まで実施し、2019年1月から2月にかけて効果を検証する。

 NTTグループは、実証実験と効果検証を経て有用性を検証し、医療材料領域の製造販売業者と販売代理店・特約店が共同で利用できる基盤サービスを提供する予定。将来的には、医療材料の使用実績と患者情報をひも付け、医療機関におけるアウトカム分析などにも利用できるサービス展開を目指す。

整形外科インプラント製品にRFIDタグを付けて個々に管理

 実証実験では、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephewの整形外科インプラント製品に、3PL(サードパーティ物流)事業者であるNTTロジスコが物流センター内でRFIDタグを貼付し、個体識別IDを記録する。こうして、医療材料を取り扱う製造販売業者および代理店・特約店が医療材料の情報を一元的に管理できるサービスを提供する。

 検証として、RFIDタグの有用性と、製造販売業者、代理店・特約店、3PL事業者における業務効率化の可能性について、3社の販売代理店・特約店および6つの医療機関の協力の下、検証を行う。さらに、本基盤とNTTロジスコが提供する共同配送便サービス「メディカルライナー」との連動による効果も検証する。

 また、NTTデータのデジタル技術を活用し、モバイル端末などによる医療機関での使用実績入力、在庫確認や受発注予測機能を開発し、リアルタイムな在庫状況の見える化、医療機器製造販売業者の生産管理への情報活用、サービス化に向けたプラットフォーム機能拡張の可能性、などを検証する。

短期貸出の廃棄ロスや過剰在庫を削減

 実証実験の背景について両社は、医療材料の販売形態として、製造販売業者が代理店・特約店経由で医療機関に医療材料を一時的に預け、手術などで医療材料を利用した時に医療機関が買い取る預託販売形態が主流となっていることを挙げている。

 預託販売形態は、「長期貸出」と「短期貸出」に分かれる。長期貸出は、医療機関の施設内に預託在庫として預け置く。これに対して短期貸出は、手術、手技ごとにサイズや種類が異なる医療材料を、販売代理店・特約店がその都度手配・納品し、使った医療材料に限って医療機関に請求し、残りの医療材料を引き上げ、回収までを行う。

 短期貸出のサプライチェーンでは、廃棄ロスと過剰在庫の削減、預託在庫数と使用数のリアルタイムな把握、検品作業の負担削減、などの課題を抱えている。これらの課題の解決に向けて、NTTロジスコとNTTデータは、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティの実証実験を行うこととした。

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