インサー(INCIR)は2019年1月16日、グローバル標準の非接触ICカード規格であるNFC TypeA/Bを採用したスマートフォン決済基盤「INCIR」を発表した。クレジットカードや電子マネーを非接触型で利用できる。デバイスとして、NFCのアンテナを内蔵したmicroSDカードや、複数のICカードを1枚にまとめられるスマートカードを提供する。2019年5月からオンライン決済を、2019年秋から非接触型でのスマートフォン決済を利用できるようにする。
INCIRは、非接触ICカード規格で、グローバルで標準的に使われているNFC TypeA/Bを採用した、スマートフォン決済基盤である。日本国内では非接触ICカード規格としてFeliCaが普及しているが、国際ブランドのクレジットカードなどがNFC TypeA/Bを使った「タッチ決済」(英語名はContactless)と呼ぶ仕組みを推進している。INCIRを使うと、実店舗やWebサイトにおいてスマートフォンやWebブラウザを介したタッチ決済ができる。
INCIRは、スマートフォンにインストールするアプリ「INCIR WALLET(インサーウォレット)」、非接触ICチップを搭載したデバイス「INCIR CARD(インサーカード)」、クラウドサービス「INCIR HOME(インサーホーム)」で構成する。実店舗では、スマホアプリとICカードの組み合わせて使う。スマートフォンへの指紋認証やPINコード入力によって安全に決済できる。
INCIR CARDのデバイスとして、SIMロックフリーのAndroidスマートフォンに挿して使うことを想定した、microSDカード型の「SD CARD」を用意している(図1)。ストレージとして使えるmicroSDカードにNFCのアンテナを搭載したデバイスであり、これを挿したスマートフォンがNFC搭載機になる。microSDカードのストレージ容量は、海外向けでは16Gバイトなどを用意しているが、国内では128Gバイトなども用意する。
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もう1つのINCIR CARDのデバイスは、スマートフォンとBluetoothで通信して利用するカード型デバイス「SMART CARD」である。microSDカードを装着できないスマートフォン(iPhoneなど)でも利用できる。スマホアプリを起動し、複数のクレジットカードや電子マネーの中から決済に使うカードを選ぶことで、選択したカードとしてSMART CARDを利用できる。SMART CARDは本体に充電式のバッテリを搭載しており、非接触型で充電できる。
スマホアプリには、利用するクレジットカードや電子マネーを複数登録できる。例えば、クレジットカードの盤面をスマートフォン内蔵カメラで撮影して情報を取り込める。電子マネーも、利用するものを選んで登録できる。プリペイド型電子マネーへのクレジットカードによるチャージなどもアプリを介してできる。電子マネーの残高を家族などの第三者に分配(送付)する機能も提供する。
海外ではNFC TypeA/Bを採用したタッチ決済(Contactless)が広く普及しているとインサーは説明する。オーストラリアの93%、シンガポールの70~73%、世界の主要10カ国の3分の2以上、世界の主要30カ国の3分の1以上が利用しているという。国内では、すでにローソンなどで利用できる(図2)。今後、ダイエーなどで利用できるようになる。
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INCIRの主なターゲットは、SIMロックフリーのAndroidスマートフォンを購入するユーザーである。顧客層に向けた情報発信として、家電量販店のビックカメラが店頭で配布するフリーペーパーと連動した情報サービスを2019年1月末に開始する。