NECは2019年2月5日、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、東武鉄道が実施した、5Gを活用した高速走行中の列車への高精細映像伝送実験に、5G基地局を提供したと発表した。実験は、2018年12月17日~2018年12月21日に、埼玉県春日部市で東武スカイツリーラインの列車を用いて実施した。
線路沿いに設置した4.5GHz帯・28GHz帯対応の5G基地局から、4K・8Kの高精細映像を時速約90kmで走行する列車内の5G移動局に伝送し、リアルタイムに大型ディスプレイに表示した。また、列車内の無線LANを通して乗客が持つことを想定した40台のスマートフォン端末に映像を配信した(写真1)。
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NECの5G基地局は、5G移動局の位置・方向に電力を集中させたビーム(指向性)を形成するMassive MIMOアンテナを搭載している。移動局の動きに合わせてビームを追従させることで、常に移動局に最適なビームを形成するため、同実験のように、高速で移動する列車などのなかにある移動局に対しても高データレート(伝送速度)かつ高品質な無線データ通信を提供できる。
今回の実験を通して、列車やバスなどによる高速移動中でも、5Gを活用した高臨場・高精細映像コンテンツの伝送が可能であり、場所やシーンを問わず様々なメディアの大容量コンテンツ配信サービスを実現できることを確認したという。NECは今後も、都市部や地方など様々な条件・環境下で、多様なユースケースを想定した5Gの検証を行っていく考えだ。
なお、同実験には、NTTコミュニケーションズが総務省から受託した平成30年度5G総合実証試験「高速移動時において平均1Gbpsを超える高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」の成果の一部が含まれている。