BIツール「Yellowfin」が、最新バージョン「8」に搭載された「シグナル機能」でさらに進化を遂げた。ビジネスにまつわる社内外の膨大なデータ群を常にウォッチし、「これは見過ごしてはならない」という重要な変化を見つけてユーザーに知らせてくれる機能だ。その具体的な中身と効果とは──。
市場の動きに敏感に即応できる企業にこそ競争力が宿る。だからこそ、ビジネスに関わる社内外のデータから気付きを得て、素早く善後策を講じなければならない──。“データドリブン”な組織体を目指そうと、多くの企業が様々な取り組みを進めている。
事業部門の従業員でも直感的に扱えるBIツールが数多く登場し、データ分析がより身近なものになっているのが昨今の傾向だ。もっとも、「ここに着目すべきという気付きは“人の感性”に任されているケースがほとんど。もしかすると、大事な変化を見過ごしているかもしれないのです」─そう指摘するのは、Yellowfinの林勇吾氏(Managing Director, East Asia)だ。
膨大なデータが刻々と発生している中で、いかにして大事な変化を察知するか。「そこに寄与するのが拡張アナリティクスと呼ばれる自動化の仕組み。機械学習をはじめとするAI技術を駆使して、ビジネスに影響を与えそうな変化をあぶり出し、ユーザーに気付きを与えるのです。当社が今まさに力を注いでいる分野であり、Yellowfinの新機能として次々と進化させています」(林氏)。
Yellowfinは、バージョン7.4でまず、「インスタントインサイト」機能を実装。ある事象が気になった時に、それに影響を与えたデータと背景理由を示すもので、使い手か感じる「なぜ?」に対して明確な答えを分かりやすく説明してくれる。2018年11月に提供を開始した最新版「8」では、さらに自動化を進めた「シグナル」と呼ぶ機能を搭載した。ビジネス上、気にとめるべき変化を人手を介することなく探り出して示してくれる注目機能である。
データの変化を自動で検知して通知してくれる
シグナルが登場した背景には、企業が保有するデータが加速度的に増えている中、本当に大事な変化に速やかに気付くことが難しくなっていることがある。
例えばECサイトを運営している企業であれば、その時々で幾つものマーケティングキャンペーンを展開しており、効果の良し悪しをいつも気にかけている。もっとも、その施策だけがすべてではない。競合企業の動向やインフルエンサーの言動によっても売上は左右するだろうし、暖冬や冷夏などの気象条件も影響するだろう。いくつもの条件が重なっている状況下、しかも膨大な商品を取り扱っているとなれば、特定アイテムの好調/不調を把握するのは一筋縄ではいかない。
ここで役に立つのが「シグナル」だ。Yellowfinで扱えるように設定してある社内外のデータ群を定期的にチェックし、例えば(通常の実績に比較して)「商品Aが飛び抜けて売れている」といった注目すべき動きを知らせてくれる。もちろん、その事象と相関がありそうなデータを表示する機能もあるので背景を深く理解することもできる。商機を逸しないために在庫に照らして追加発注をかけるといった素早いアクションにつなげることができるわけだ。「シグナルはビジネス上で有意なデータの変化を統計のアルゴリズムを使って自動で見つけてくれるので、気付かなければならない事象を見逃さずに済むのです」(林氏)。
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Yellowfinはユーザーごとの興味や関心も学習する。使い始めの頃は多くのシグナルを通知してくるが、業務を遂行する中で「このシグナルは今後もウォッチしていきたい」と登録(評価)を繰り返すことでYellowfin側がユーザーの業務特性を理解し、当人にとって役立つであろうシグナルを厳選して届けるようになる。
林氏がさらにシグナルの利点として挙げるのが「バイアスがかかった意図的な分析を回避できる」こと。「一般的にセルフサービス型のBIソフトを使うシーンでは、分析者の意図や思い込みが紛れ込みやすく、重要な気付きがスルーされることも往々にしてあるものです。その点、機械化・自動化に徹しているシグナルは客観的でピュアな結果を示してくれるので、良いことも悪いことも掛け値なしで素早く知ることのできる礎となります」(林氏)。
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エンジン部品の製造ラインの品質管理にシグナルを採用
シグナルを活用しているユーザーの一社が、航空機用エンジンのブレード製造などを行うAeroEdge(栃木県足利市)だ。フランスのエンジンメーカーであるSafran Aircraft Enginesに対して月産6000枚のブレードを供給していることが象徴するように、開発力と対応力で定評のある企業である。
ブレードは厚さとして1000分の1ミリメートル単位の極めて高い精度が求められる。何らかの理由で合格ラインを逸脱してしまったものは一時ストックしておき再加工へと回すが、その分だけリードタイムが跳ね上がってしまうし、トレーサビリティの観点で発注元への経緯報告といった派生業務も生じてしまう。加工精度のPDCAをうまく回していくことが健全な経営の軸となるのだ。
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そこで同社はYellowfinを導入。工場では、Yellowfinの分析結果を表示するサインボードを複数の製造ラインごとに配置し、工程の実情を目視できるよう工夫を凝らした。意図通りの精度に達していない場合にシグナル機能で直ちにアラートを出し、それが工作機械の微妙な設定によるものなのか、材料ごとの品質特性によるものなのかといったことを特定しやすい環境を整えたのである。Yellowfinが手戻りを最小限に抑え、揺るぎないクオリティコントロールの根底を支えている。
こうした事例を筆頭に、データ経営で競争優位を獲得しようという強い意志を持った企業が続々とYelllowfinを採用し始めたのが昨今の状況だ。林氏は、「本当に意味のある気付きを得て、組織で共有し、より実効性のある施策を打つサイクルを創るためにYellowfinがあります。今後も新しいテクノロジーを貪欲に取り込んで進化を続けます。ユーザー事例をはじめ、データ利活用の最前線の動きや、そこで役立つソリューションを積極的に紹介していきます」と取材を締めくくった。
●お問い合わせ先
Yellowfin Japan株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町11番8号
URL:https://yellowfin.co.jp
Email:sales.jp@yellowfin.bi
Tel 03-6667-0282
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