ホテルニューオータニなどを運営するニュー・オータニは、年末調整や入退社手続きなどの人事労務業務を効率化するため、クラウド型労務管理ソフト「SmartHR」を導入した。2019年4月から運用を開始している。アルバイトを含む従業員2200人が利用する。これまで人事労務業務や従業員が手続きおよび提出にかかっていた時間を換算すると、約75%のコスト削減につながると見込む。SmartHRが同年5月27日に発表した。
ニュー・オータニは、労務業務のアナログさや煩雑さを解消するため、SmartHRを導入した。従業員は、スマートフォンを介してSmartHRにアクセスし、年末調整作業、入退社手続き、Web給与明細機能、などを利用できるようになった。導入効果として、これまで人事労務業務や従業員が手続きおよび提出にかかっていた時間を換算すると、約75%のコスト削減につながると見込んでいる(写真1)。
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ニュー・オータニが真っ先に解消したかったのは、年末調整作業である。年末調整では、全従業員の手続きを一斉に行うため、年間の労務手続きの中でも、最も書類が必要となり、煩雑なやりとりが発生する。さらに、決められた期間内で業務を完了しなければならない。これらの問題を解消した。
従業員は、スマートフォンからカンタンな質問に回答していくだけで年末調整が完了する。人事労務担当者と従業員との間での煩雑な書類のやりとりがなくなる。また、以前は記載済の書類を部署ごとにまとめて人事課に提出するケースがあったが、SmartHR上で提出することによって個人情報が人目に触れることがなくなる。
従業員の入退社手続きにもSmartHRを利用する。これまでは、入社する際に1人あたり5~6枚の書類に記載してもらい、その書き方の説明に1時間以上を要していた。これに対してSmartHRの入社手続きでは、フォームに沿って従業員が自身の情報を入力するだけで完了する。なお、アルバイトの入退社は月に約40人、多い月には約50人にのぼる。
Web給与明細機能も利用する。以前は、給与明細は、発行から確認・封入、グループ会社への発送などを書類で行っていた。給与支給日の前後に異動が発生すると、準備していた給与明細の束から異動対象者を探し、新しい部署にまとめなければならない作業が頻繁に発生していた。
毎月発生する給与明細の発行をSmarHRに切り替えることで、人事労務担当者の負担が減る。また、従業員は、スマートフォンから手軽に給与明細を確認できる。紛失のリスクもなくなる。