みずほ銀行は、外国送金業務を効率化し、外国送金の仕向先銀行の判定をAIで自動化するシステムを2019年4月に稼働開始した。仕向先銀行とは、為替業務において、顧客(送金人)から送金や振込の依頼を受けた金融機関のこと。日本IBMが2019年6月17日に発表した。
みずほ銀行は従来、外国送金依頼書を基に、外国送金の仕向先銀行を判定していた。外国送金依頼書には、SWIFTコード、銀行名、都市名、通貨、金額などの情報が、自由文で記載されている。担当者は、複数の資料を参照しながら仕向先銀行や経由する銀行を判断する必要があった。
図1:開発したシステムの概念図(出典:日本IBM)拡大画像表示
このため、外国送金業務を大量に処理するためには、仕向先銀行の判定に要する時間を短縮する必要があった。今回導入したシステムは、AIを活用して、仕向先銀行の判定を自動化するものである(図1)。
みずほ銀行における実際の外国送金の依頼内容を学習データとして、Watson Knowledge Studioを用いて判定モデルを作成した。これを、IBM Watsonの自然言語処理に利用した。
自由文で記述した多様な送金依頼書から、銀行名、国名、都市名、SWIFTコードなどを正確に把握し、受取人の取引先銀行を特定する。さらに、有識者のノウハウを取り込んだロジックを用いて仕向先を自動的に選定する。
開発にあたって、みずほ銀行と日本IBMは、業務有識者とAIの専門家が一体となり、実開発期間約3カ月のアジャイル開発を行った。これにより、短期間でシステムを稼働開始している。みずほ銀行は今後、機械学習による回答精度をより向上させていくとともに、RPA(ロボットによる業務自動化)による完全自動化も視野に入れる。
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