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三井不動産が基幹システムを刷新、フルクラウド化で年間5万8000時間の業務量を削減へ

2019年7月12日(金)IT Leaders編集部

三井不動産は2019年7月11日、基幹系システムを全面刷新し、フルクラウド化したことを発表した。本格稼働は2019年4月に開始している。新システムは、決裁・会計システムに「intra-mart」および「SAP S/4HANA」を、経費精算機能として「Concur Expense」を採用した。

 国内最大手の不動産会社である三井不動産は、長期経営計画「VISION 2025」を掲げている。その中で同社は、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」することをを全社の重要施策と位置づけている。

 この取り組みの一環として、2016年9月から、80名からなる部門横断型の改革プロジェクトチームを立ち上げ、一から業務プロセスの見直しを実施した。その結果、部門ごとに個別最適化されていた業務プロセスの標準化と、決裁システムと会計システムの統合化をフルクラウドで行うことにした。

 Notesで構築されていた決裁システムは、NTTデータ イントラマートのintra-martに、会計システムはOracle E-Business SuiteからSAPジャパンのSAP S/4HANAに、それぞれ移行した。

 クラウド稼働基盤として、intra-martがMicrosoft Azure、SAP S/4HANAがSAP HANA Enterprise Cloudをそれぞれ活用する、マルチクラウド構成となっている。経費精算機能としては、Concur Expenseを利用している。加えて、領収書などの紙文書をConcurに取り込むためのクラウド記帳サービスとして、クラビスの「STREAMED」を採用した(図1)。

図1:三井不動産の新基幹システムの構成図(出典:三井不動産)
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 これまで三井不動産では、部門ごとに業務プロセスが異なっていた。各部門では、契約書類や請求書、経費精算書、膨大な帳簿書類を社員が手入力し、紙で出力、押印、回覧していた。今回、プロジェクトの決裁書や契約書管理、支払・入金予定の管理などをシステム上で一覧化し、部門固有だった管理方法を統一した。加えて、勘定科目体系を抜本的に見直し、スリム化を図った。

 決裁書に必要な記載項目はあらかじめフォーマット化し、相手先や金額、業務期間などのデータを押印申請や支払・入金予定、伝票計上といった会計業務まで連動させた。これにより多重入力が無くなり、入力ミスを削減できたとしている。また、Concur ExpenseおよびSTREAMEDを活用することで、経費精算の自動化を図った。読み取った領収書や交通系ICカードの内容が、自動的に経費データとして連携されるようになった。

 紙に押印して回覧していた決裁の電子化も実現した。書類への押印やワークフローを電子化することで、年間約84万枚分の紙資料が不要となる見通しだ。モバイル承認機能も導入し、働く場所を問わないモバイルワークの促進につなげている。

 三井不動産では、新システムの刷新により業務の標準化と効率化、データ多重入力の廃止、ワークフローの電子化が実現し、年間約5万8000時間の業務量削減が見込まれるとしている。この成果に加えて、運用負荷の軽減やBCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)の強化が期待できることから、他の基幹システムを含むすべてのITシステムをクラウドへ移行する計画を予定している。

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