アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2019年7月23日、説明会を開き、モバイルWebアプリケーションを迅速に開発するためのサービス「AWS Amplify」の事例を2件紹介した。学習支援アプリを開発しているtyottoと、料理動画アプリを開発しているCookpadTVが登壇し、AWS Amplifyの活用のポイントを説明した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の「AWS Amplify」は、モバイルWebアプリケーションを迅速に開発して運用できるようにするサービスである。バックエンド機能を構築するコマンド「Amplify CLI」、バックエンド機能のAPIをクライアントから簡単に使うためのJavaScriptライブラリ「Amplify Framework」、Webアプリのデプロイを自動化する管理コンソール「Amplify Console」で構成する(図1)。
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例えば、Amplify CLIを使うと、AWSの詳細な機能を知らなくても、やりたいことを実現するバックエンド機能をサーバーレス型で構築できる。GraphQLでデータにアクセスするゲートウェイのAWS AppSyncや、ユーザー認証のAWS Cognitoなど、各種のバックエンド機能をコマンド操作で構築できる。
特に、AWS AppSyncは、モバイルWebアプリケーションでよく使われる、データアクセス用途のバックエンド機能である。GraphQLと呼ぶ問い合わせ言語を使ってデータにアクセスするゲートウェイ機能を提供する。クライアントアプリケーションはAWS AppSyncに対してGraphQLでアクセスするだけでよく、バックエンドのデータベースを隠ぺいできる。
AWS Amplifyを投入する背景について同社は、Webアプリケーションを構築して運用するためには、フロントエンド画面やロジックの開発だけでなく、サーバーの構築やログ監視、性能の管理といった作業が必要になるという状況を挙げる。「こうした、アプリケーション開発者がやりたくない作業をやらずに済むようにAWS Amplifyを用意している」(同社)。
サーバーレスに移行したtyotto、データアクセスのオートスケールを評価
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AWS Amplifyの事例の1社として、スタートアップ企業のtyotto(ちょっと)でCTOを務める伊藤哲志氏(写真1)が登壇した。tyottoは、学習塾の運営(個人指導、高校生が対象)や学習支援アプリケーションの開発などに携わっている。
同社は、既存システムをAWS Amplifyによるサーバーレス型のシステムに移行中である。伊藤氏が1人で約半年かけて移行している。新システムは2019年7月末に稼働を開始する。「新規アプリを高速にさくっと作るなら、AWS Amplifyを使わない手はない」(伊藤氏)と評価している。
移行前のシステムは、WebアプリケーションサーバーをAmazon EC2で動作させた基本的な構成をとっていた。アプリケーションサーバーの保守と監視が必須であり、開発用のステージング環境の維持にもコストがかかる。処理負荷が高まっても、スケール(拡張)できない。システムを改善するためにコンテナ化を検討したが、コンテナ化してもコンテナ起動数の管理や監視などが必要になる。
その後、AWS Amplifyを用いたサーバーレス型のシステム構築を知り、導入を決めた。AWS Amplifyによって、モバイルWebアプリ開発のベストプラクティスを踏襲できた。さらに、AWS AppSyncなら、処理負荷に応じて自動でスケールできる点が大きい。また、コードをGitに登録するだけでデプロイできるので、サーバーの構築工数をほぼゼロにできたという。
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