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[プロセスマイニング コンファレンス 2019]

CTC流プロセスマイニングのベストプラクティス~PoCで見えてきた評価・導入のポイントとは

2019年11月8日(金)

国内でも急速に関心が高まっているプロセスマイニングだが、具体的な展開方法についての情報の乏しさが実導入に向けた“壁”になっている。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の加悦良康氏が、2019年9月に都内で開催された「プロセスマイニング コンファレンス 2019」(主催:インプレス IT Leaders)に登壇。展開に向けたベストプラクティスや、「Celonis」を活用したPoCを通じて得た評価・導入のポイントについて解説した。

Celonis導入を成功に導く3つのポイント

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)でプロセスマイニングに関わる活動の中核となっているのが、「企業とビジネスの共創」を旗印に掲げるオープンイノベーションの専用スペース「DEJIMA」だ。CTCの未来技術研究所でエキスパートセールスを務める加悦良康氏は、「新たな事業アイデアを具現化する一環として、当社ではDEJIMAの参加企業を巻き込んだ、AIを強みとするプロセスマイニング製品『Celonis』の実展開と、各種ノウハウの獲得に取り組んでいます」と活動内容について説明する。

CTCの未来技術研究所でエキスパートセールスを務める加悦良康氏

 その上で、加悦氏がまず触れたのが、Celonisが提唱する「導入の3つベストプラクティス」だ。1つ目は、「プロセスの可視化は1つずつ行う」こと。プロセスマイニングでは複数システムのログデータからプロセスを再現するが、その過程ではCelonisと各システムとの接続だけでなく、共通化のための変換テーブルの作成や、プロセス可視化に真に有効なデータの取捨選択といった作業が大量に発生することになる。最初からスコープを拡げて「複数プロセスの同時並行の可視化」を試みても実務が煩雑になりすぎて壁に直面しがちなのだ。

 2つ目は、「PoCから始める」ことだ。初期段階でのライセンス費用の負担を軽減することもあるが、先々の取り組みのベースを確固にしておく狙いもある。そのためにも、可視化対象のプロセスを決める最初のワークショップには、全社的な視点を持つ経営層を巻き込むべきなのだという。また、適切な評価の下準備として、現場に精通した人材と共同でログデータの意味の正確性を検証することも、社内の混乱を避ける上で大切だとアドバイスした。

 3つ目は、「導入に向けた価値評価の観点を作成する」ことだ。「Celonisは、多様な可視化が可能です。その導入効果を高めるには、課題に対して、どのデータを、どんな観点で用いるかがが鍵となり、それらをPoCで詰めておかねばなりません」(加悦氏)。

図1 プロセスマイニング導入に向けた価値評価の観点の例
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Celonisのデータ変換機能は想定以上の完成度

 これらのノウハウを基に、CTCは現在、「Celonis Intelligent Business Cloud」を活用した2つのPoCに取り組んでいる最中だという。その1つが、2019年7月から開始した、CTC社内での受注から回収までの業務を対象にしたプロジェクトだ。同社が提供するIT製品やクラウド、システム開発は納品までのリードタイムがそれぞれ異なるものの、受注以降は同一の業務フローで対処しているため、開発期間が長引く場合などには、都度、人手で対応している状況にある。そこでの非効率性の可視化と改善がプロジェクトの狙いだ。なお、既存システムは多数のアドオンが追加されたSAPのERPパッケージである。

 まずはプロジェクトオーナーやIT部門、データアナリストから成る小規模な体制でプロジェクトを開始し、対象業務の詳細が明らかになった段階で、受注処理に関わる現場部門もメンバーに加え作業を推進した。その過程で直面した代表的な課題が、「本番データの抽出が想定以上に時間を要すること」だ。

 そこでの対応策が、Celonisが提供するSAP用データ抽出ツールと、市販の超高速断面データ取得・復元ツールの併用である。結果、無停止でのデータ抽出が可能となり、問題は解消された。併せて、各業務の有識者による確認と、自社に馴染のある言葉への変更作業により、可視化後のアクティビティの正確性の担保にも取り組んだ。

 「作業を通じて思わぬ発見もありました。それが、データ変換に用いるCelonisプロセスコネクタの完成度が予想以上に高かったことです。アドオン開発された当社のSAPでもモデル作成が可能でした」(加悦氏)。

手順さえ踏めばスクラッチシステムでもプロセス可視化が可能

 もう1つのPoCが、前出のオープンイノベーションの場「DEJIMA」を利用する、ある製造業における設計変更業務を対象にしたプロジェクトだ。その企業では従来から変更承認にワークフローシステムを用いてきたが、連携先となる図面作成や部品管理のシステムとのデータのやり取りは人手で対処しており、作業ミスが発生しかねない状況にあった。コンプライアンス遵守のためにも、このプロセスすべてのシステム化を検討することになったのである。

 作業での一番の課題は、既存システムがすべて自社開発であることに起因して、例えば、ワークフローの中に「受領日」「処理日」といった項目名の異なる日付データが混在し、何を意味するかなどに混迷を来していたことがある。こうした中、そもそもの業務品質を高めるには、どのタイミングで、何を、どう見るべきかについて話を詰め、対応するデータ項目から変換テーブルを作成することで、プロセスの可視化にこぎつけたのだという。

 「一連のプロジェクトを通じてスクラッチシステムでも可視化が可能なことを理解できたことが当社にとっての一番の成果です。Celonisではケースキーに対するアクティビティの設定が可能なことから、手順さえ踏めば、各システムから必要なデータを取り込めるのです」(加悦氏)。

 CTCでは、Celonisの導入支援の高度化に取り組むとともに、今後、「PoC」「本番導入」「運用支援」「教育」などのサービスメニュー開発とリリースを加速させる計画だ。そこには、同社がPoCを通じて蓄積してきたノウハウが凝縮されることになる。


●お問い合わせ先

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

メール:processmining@ctc-g.co.jp

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