独立系ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2020年2月20日、国内のSSL可視化市場規模推移および予測を発表した。2019年度のSSL可視化市場は、前年度比14.8%増を予測している。政府ガイドラインの発行により認知度が高まり、本格的な市場形成へ向かうと見ている。
ITRによると、国内SSL可視化市場の2018年度売上金額は8億1000万円、前年度比26.6%増と好調な伸びとなった。2019年度は、SSL可視化の認知度向上および必要性の高まりから、前年度比14.8%増を予測している(図1)。
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常時SSL化されたWebサイト/サービスが一般的になって久しいが、暗号通信に隠れた攻撃などの新たなセキュリティ脅威のリスクが発生している、とITRは指摘。SSL通信では、不正コードそのものが暗号化され、従来のセキュリティ機器では脅威を検知できない可能性がある。そこで、SSL通信を復号・可視化して通信の中身を検査し、再度暗号化してSSL通信のリスク軽減、脅威の検知を行う製品・サービスが登場している、と状況を説明している。
暗号化通信の可視化に関する日本政府のガイドラインが発行されて以降、SSL可視化の重要性と認知度が高まっており、さらなる参入ベンダーの増加と共に市場の本格的な形成が見込まれる、とITRは説明。このため、同市場のCAGR(2018~2023年度)は9.1%と2桁に近い伸びを予測しているという。
Webサイトでやりとりされるデータを盗み見されることを防ぐために、WebサイトのSSL化が進められている。JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)とITRが実施した共同調査(2019年1月~2月)では、常時SSL化が約4割、部分的なSSL化を含めると約8割が実装済みだった。
一方で、SSL暗号化通信を利用していると、SSL通信を介して機密情報が漏洩しても、漏洩したことが分からないという副作用も発生している、とITRは指摘。SSL可視化は、このようなSSLを用いた情報漏洩を検知するための製品・サービスである。SSL化の普及に伴い必要となる技術であり、ITRでは今後も大きく成長する領域だとしている。
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2020』に詳細を掲載している。同レポートでは、ファイアウォール/UTM、WAF、DDoS対策、ネットワーク/プラットフォーム脆弱性管理など全11分野を対象に、国内50ベンダーへの調査に基づいた2017~2018年度売上実績および2023年度までの売上予測を掲載している。