[市場動向]
ガートナー、テレワークの効率化に向けたペーパーレスとファイル活用のロードマップを提示
2020年4月17日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)
ガートナー ジャパンは2020年4月17日、企業がテレワークの効率を高めるために必要な要素であるペーパーレスとファイル活用について、取り組むべきロードマップを示した。第1段階の「テレワーク」、第2段階の「コラボレーション」、第3段階の「より複雑なプロセスへの対応」で構成する。
ガートナー ジャパンは、テレワークの効率を高める要素としてペーパーレスとファイル活用を挙げ、これらに取り組む際の、1年先までを見据えたロードマップを示した(図1)。
社員個人の紙文書を電子化して活用する段階から、社内ワークフローの電子化、電子帳簿保存法と訴訟対応、取引先を巻き込んだ手続きの電子化まで、3つの段階を想定している。
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背景について同社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を進める中で、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)の重要性が高まるとともに、紙の帳票や文書に関する問題が浮き彫りになっている状況を挙げる。「例えば、紙文書を閲覧するためにだけ、あるいは紙文書に承認印を得るためにだけ出社する事態がいまだに起こっている」(同社)。
ガートナーでは、「紙問題に悩んでいる企業は、速やかに電子化を進めていくべき」と指摘する。ただし、紙問題は、単に電子化すれば解決できるものではないとも指摘する。情報を使いこなす仕組みを検討し、重要情報のセキュリティ確保を両輪として取り組んでいく必要がある。
ガートナーが指摘する紙問題は大きく3つある。
- 課題1「会社に行かないと仕事に必要な資料を閲覧できない」
- 課題2「いまだにビジネス・プロセスに紙を使い、押印/検印文化が残っている」
- 課題3「紙にまつわる組織文化と思い込みが社内に存在する」
課題1と課題2の多くは、テクノロジーで解決できる。一方、課題3は、日本企業の多くに見られる傾向で解決することが難しい。これに対してガートナーは、新型コロナウイルス感染症への対応が当面必要となる可能性を踏まえ、すべての日本企業は「時代は既に変わった」と考え、電子化と情報活用に向けた活動を加速させるべきであると指摘する。
ガートナーが示したロードマップは、3つの段階で構成する。第1段階の「テレワーク」、第2段階の「コラボレーション」、第3段階の「より複雑なプロセスへの対応」で構成する。
第1段階の「テレワーク」は、必要に応じてアドホックに紙をスキャンして電子化する段階である。従業員個人が持っている紙の資料類や、情報漏洩のリスクがない紙文書を、複合機/スキャナで電子化し、必要に応じてファイル名を付与するなどして活用する段階である。
●Next:「コラボレーション」「より複雑なプロセスへの対応」の要点
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