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やまや、明太子づくりをディープラーニングで省力化、異物検査とグレード判定に利用

2020年4月27日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

やまやコミュニケーションズ(本社:福岡県福岡市)は2020年4月27日、明太子の製造工程における、たらこの異物検査やグレード判定を対象に、ディープラーニング(深層学習)による画像認識を採用する。実証実験では、人手による作業と同等か、それ以上の精度を達成するAIモデルを開発した。2021年に開設する新工場での完全自動化を見据え、試験運用を開始している。

 辛子明太子の製造・販売で知られる食品・水産加工のやまやコミュニケーションズは、ディープラーニング(深層学習)による画像認識を導入し、たらこの異物検査やグレード判定に活用する。同社によると、辛子明太子の製造では、原料となるたらこに対して、異物検査やグレードの判定を行う。このスキルを持った人材の確保が難しく、属人化しない対策が求められていたという。

 異物検査の工程では、水産物に付着した微小な生物や繊維物といった異物が適切に除去されているかどうかを検査する。グレード判定の工程では、分類基準に基づいてグレードを判定する。これら2つの工程をそれぞれ担うAI判定モデルを、ディープラーニングによって構築した。

 特に、グレードの判定については、ベテランの作業員が無意識のうちに行っている複雑な判定基準を、モデルの学習と評価を繰り返しながら有形の基準として顕在化させた。それぞれの基準をAIモデルとして落とし込み、複数のAIモデルを組み合わせることで、人間が判断する精度と同等か、それ以上の精度で判定できることを実証したとしている。

 ITシステムは、日本IBMが用意した。POWER9プロセッサとNVIDIA GPUを搭載したAI専用サーバー「Power System AC922」と、ディープラーニング構築支援サービスを提供した。AI開発基盤「IBM Watson Machine Learning Community Edition」(旧製品名:IBM PowerAI)を用いてAIモデルの開発と、やまやコミュニケーションズでのAIモデル内製化にむけたスキルの引き継ぎを実施した。

 実証実験の成果を踏まえ、やまやコミュニケーションズは工場へのAI実装の設計と構築をシグザムとともに開始した。今後は、新工場にAIを導入し、当該業務を海外工場含む複数工場から新工場へ集約する。省人化とサプライチェーンの短縮を実現し、生産コストや工程リードタイムを削減する。

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